研究課題/領域番号 |
23K08455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸藤 哲 北海道大学, 医学研究院, 名誉教授 (30125306)
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研究分担者 |
和田 剛志 北海道大学, 医学研究院, 助教 (30455646)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 播種性血管内凝固症候群 / 細胞死 / 凝固線溶 / 多臓器機能障害 / 播種性血管内凝固症候群(DIC) / 凝固 / 線溶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は播種性血管内凝固症候群(DIC)発症の病態生理を、制御された細胞死(パイロトーシス、ネクロトーシス、ネトーシス)が細胞膜の破綻を伴い放出する傷害関連様式(DAMPs)との関連から解明する。さらに臨床上のDICの主要な基礎病態である敗血症、外傷、心停止蘇生で、DIC発症がDAMPsによる凝固亢進、線溶抑制、血管内皮細胞傷害を伴う凝固制御機能の破綻から末梢細胞組織への酸素供給障害と組織酸素代謝失調に至り、多臓器機能障害を引き起こし、これらの症例の予後を不良とする機序を明らかにする事を目的として実施する。
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研究実績の概要 |
研究1:敗血症、外傷、産科病態、悪性腫瘍等の重症病態(critical illness)に合併する凝固障害(coagulopathy)と播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation, DIC) の病態、診断、治療を国際共同執筆し総説として投稿した。CoagulopathyがDICへ進展し、血栓形成と出血から多臓器機能障害(multiple organ dysfunction syndrome, MODS)を合併して予後不良となることを解説した。 研究2:DICの二病型(線溶抑制型と線溶亢進型)の新しい考え方と病態生理を総説として公表した。従来の二次線溶亢進の程度が二病型を形成するとの考え方を否定し、DICの本態は線溶抑制型であること、そして線溶亢進型は同一の病態においてDICとトロンビン産生に依存しない一次線溶亢進状態が併存する病態であることを明らかにした。 研究3:外傷性DICの歴史と考え方、そして外傷性DICの新しい病態生理を各々邦文総説および国際共同執筆による総説として公表した。前者では、2000年代から十数年に渡る外傷性DICに関する国際的論争を俯瞰・概説した。後者は外傷性DICの本態が細胞死(偶発性細胞死と制御された細胞死)における恒常性維持過程が破綻した状態であることを世界で初めて明らかにした。 研究4:COVID-19におけるDICの頻度を明らかにし、DIC合併がCOVID-19症例の予後を不良にすると言う仮設を検討中である。国際医療センターとの共同研究であり、ほぼ結果がまとまり国際誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19におけるDICの頻度を明らかにし、DIC合併がCOVID-19症例の予後を不良にすると言う仮設を検討中である。国際誌への投稿予定段階であり、投稿・採択を年度内の目標としていたが、少々遅れている状況である。しかし、DIC発症の病態生理を、制御された細胞死(パイロトーシス、ネクロトーシス、ネトーシス)が細胞膜の破綻を伴い放出する傷害関連様式(Damage-associated molecular patterns, DAMPs)との関連から明らかにし、臨床上のDICの主要な基礎病態である敗血症、外傷、心停止蘇生における意義を総説として公表した経過は、順調な進捗と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究1:COVID-19におけるDICの頻度を明らかにし、DIC合併がCOVID-19症例の予後を不良にすると言う仮設検討を、「Incidence and significance of disseminated intravascular coagulation in COVID-19: A multicenter retrospective cohort study」の論文タイトルとして国際誌Scientific Reportへの投稿を予定する。 研究2:心停止蘇生症例を対象に、心停止・蘇生が引き起こすDICと、veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation (ECMO)使用する心肺蘇生法(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation (ECPR)による凝固線溶異常が相乗的に作用して重篤なDICが発症し症例の予後を不良にする、と言う仮説を検討する。さらに、ECPRに合併するDICは線溶亢進型であり、血栓形成に加えて出血性合併症を伴うことを明らかにする。 研究3:国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis, ISTH)が提唱する敗血症性凝固障害(sepsis-induced coagulopathy, SIC)は病態の重篤化に伴いDICへ移行するとの考え方を検証する。
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