研究課題/領域番号 |
23K08477
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣橋 伸之 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (30218862)
|
研究分担者 |
谷本 圭司 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (90335688)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | HIFーPH阻害薬 / 放射線 / 炎症 / 複合障害 / マクロファージ / 放射線複合障害 / HIF-PH阻害薬 / 低酸素誘導因子 / 放射線災害 / 高線量被ばく |
研究開始時の研究の概要 |
放射線事故・災害における複合障害(高線量被ばくと感染・熱傷) に対して、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬に よる症状増悪防護作用の検討を行う。in vitro 研究として、正常系細胞株への高線量照射、高線量照射+感染曝露においてHIF-PH阻害薬で曝露前処理、同時処理、後処理を行い、HIF発現、細胞生存率および細胞機能の改善に最も有効な投与時期、量を確定する。In vivo研究として、マウスへの高線量照射、高線量照射+感染、高線量照射+熱傷曝露において、同様に生存率、各臓器組織の障害度、熱傷皮膚治癒程度を指標と し、HIF-PH阻害薬の有効な投与時期、量を確定する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、in vitro及びin vivoモデルを用いて、放射線複合障害下におけるHIF-PH阻害薬の効果及び投与方法を検証することが目的である。in vitro 研究として、正常系細胞株への高線量照射、高線量照射+感染曝露においてHIF-PH阻害薬で曝露前処理、 同時処理、後処理を行い、HIF発現、細胞生存率および細胞機能の改善に最も有効な投与時期、量を確定する。In vivo研究として、マウスへの 高線量照射、高線量照射+感染、高線量照射+熱傷曝露において、同様に生存率、各臓器組織の障害度、熱傷皮膚治癒程度を指標と し、HIF-PH 阻害薬の有効な投与時期、量を確定する。これまでにまず実験に使用する試薬について条件設定を行った。低酸素擬似環境を表現するHIF-PH阻害剤はDMSOに溶解して使用するため、まずマウスマクロファージ系細胞株RAW264.7に対してMTT assayによるDMSOの細胞毒性評価を行った。同様にHIF-PH阻害剤の細胞毒性も最終濃度1-100μMの範囲で検討した。次にHIF-PH阻害薬の放射線障害における効果を検討するため、RAW264.7にHIF-PH阻害薬を前投与し、ガンマセル放射線照射装置により1-10Gyの放射線照射を行った。細胞増殖能はMTT assayとIncucyteシステムで検討した。HIF-PH阻害薬の前投与については、投与回数、投与するタイミングについて詳細に検討した。さらに確認された効果について異なるマウスマクロファージ系細胞株であるJ774.1でも検討した。現在、正常細胞(マウス骨髄由来マクロファージ)についても検討を開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験の条件設定、評価方法確立に想定以上に時間がかかった。特に、HIF-PH阻害剤の溶解液の濃度設定、HIF-PH阻害剤の細胞への効果判定のタイミングの検討について予想を超える結果となり、詳細な投与開始時間、回数の検討及び判定方法の追加(Incucyteシステム)をすることになり、解析に時間を要した。また、各細胞株における反応も異なるため、慎重に再検を行った。その結果一定の傾向を確認できたため、今後は正常細胞(マウス骨髄由来マクロファージ)についても検討し、in vivo実験へ進む予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
正常細胞(マウス骨髄由来マクロファージ)を用いて放射線防護効果(生存能、NO産生、貪食能の測定、HIF発現、 細胞機能(HIF標的遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子の発現)の検証を行う。次に複合障害(放射線被ばくとエンドトキシンによる炎症の組み合わせ)におけるHIF-PH阻害剤の防護・治療作用(生存能、NO産生、貪食能の測定、HIF発現、 細胞機能(HIF標的遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子の発現)を検証する。これについても細胞株種による相違が認められる可能性が示唆されるため、マクロファージ系細胞とマウス骨髄由来マクロファージを用いて、次世代シーケンシングを実施しシグナル解析を行うことで、複合障害時におけるHIF-PH阻害剤の作用点を同定する。その結果を公共データベースを使用して、バリデーションを行う。一方、各侵襲におけるHIF-PH阻害剤の前投与と後投与の効果の違いを検討する。In vitro実験結果を元に、C57BL/6 マウスへの高線量照射、高線量照射+感染(エンドトキシン 腹腔内投与)曝露、高線量照射+熱 傷(背部剃毛後熱鉄板による背側熱傷)曝露において、HIF-PH阻害薬(腹腔内投与)で曝露前処理、同時処理、後処理を行い、マウスの生存率、末梢血検査(CBC、生化学、サイトカイン、各種細胞機能)、各臓器組織の障害度(病理組織)、熱傷皮膚治癒程度を指標とし、HIF-PHD阻害薬の有効な投与時期 、量を確定する。
|