研究課題/領域番号 |
23K08492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
斉藤 優梨花 山形大学, 医学部, 助教 (70970242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん / p53 / MDM2 |
研究開始時の研究の概要 |
がん抑制転写因子p53は、細胞ががん化した際に細胞死を誘導する。悪性腫瘍では、遺伝子変異によるp53の機能喪失や、遺伝子変異がなくてもp53の機能が過剰に抑制されている場合が多い。悪性脳腫瘍グリオーマは、p53の遺伝子変異が比較的少ないため、機能的な抑制を解除し、p53を活性化させることが有力な治療戦略となり得る。 p53活性化の標的として、p53の抑制・分解を誘導するMDM2が着目されているが、既存のp53-MDM2結合阻害薬は正常細胞への毒性が強いことが問題である。 そこで本研究では、グリオーマを標的とした安全性の高いp53活性化薬を探索し、新規治療薬となり得る薬剤候補を提案することを目指す。
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研究実績の概要 |
がん抑制転写因子p53は、がん細胞の細胞死を誘導する。悪性腫瘍では、遺伝子変異によるp53の機能喪失や、遺伝子変異がなくてもp53の機能が過剰に抑制されている場合が多い。悪性脳腫瘍の一つであるグリオーマは、p53の遺伝子変異が比較的少ないため、p53の機能的抑制を解除し活性化させることが有力な治療戦略となり得る。p53活性化の標的として、p53の抑制・分解を誘導するMDM2が着目されているが、既存のp53-MDM2結合阻害薬は、細胞選択性がないため正常細胞への毒性が強いことが問題である。そこで本研究では、グリオーマを標的とした安全性の高いp53活性化薬を見出し、新規治療薬となり得る薬剤候補を提案することを目指した。 先ずは、新規ライブセルタンパク間相互作用スクリーニング法を用いて、FDA承認薬の中からグリオーマを標的としたp53活性化薬候補の探索を行い、136種の候補薬を検出した。次に、血液脳関門透過性やヒトにおける最高血中濃度などの情報を加味し、優先度の高い候補薬について、実際にp53とその下流経路の活性化が起きているか、正常細胞に毒性のない濃度でグリオーマ細胞の増殖を抑制し細胞死を誘導できるか、等につき検証し、候補薬剤の絞り込みを行なった。 尚、近年、がん細胞におけるp53の機能制御へのHDACの関与が注目を集めていることから、本研究課題ではFDA承認薬以外でも種々のHDAC阻害薬についてp53活性化・増殖抑制効果のスクリーニングを行なった。その過程で、汎HDAC阻害薬であるgivinostatが予想外の機序でグリオーマ細胞の増殖を抑制するとともにテモゾロミド感受性を高めること、また、クラス1HDAC阻害薬domatinostatがグリオーマ幹細胞に加えて卵巣がん細胞の増殖抑制に有効であることが付随的に明らかとなるなど、想定外の成果を得ることができ論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
候補薬剤のスクリーニングも進んでおり、関連する実験から想定外の成果を得て論文発表できたことから、おおむね順調な進捗状況であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
優先度が高いと判断した候補薬は、in vivoで治療効果を検証する。具体的には、ヌードマウスにグリオーマ細胞を皮下移植後、候補薬の投与を腹腔内または経口で行う。薬剤は、ヒトへの投与量をマウス換算した濃度以下で投与し、薬剤の最大安全投与量の決定も行う。治療効果が期待できると判断された場合には、頭蓋内移植モデルを用いた治療効果の検証に進める。有望な結果が得られた薬剤については複数のグリオーマ細胞(含む幹細胞)を用いて治療効果を検証していく。
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