研究課題/領域番号 |
23K08523
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森垣 龍馬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (70710565)
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研究分担者 |
三宅 一央 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (70633345)
藤川 丈自 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (70903558)
小田 輝王 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (70911543)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ジストニア / パルブアルブミン陽性介在ニューロン / 線条体 / 動物モデル / 大脳基底核回路 / 小脳 / 大脳基底核 / ストリオソーム |
研究開始時の研究の概要 |
ジストニアは持続性筋収縮のため適正な運動制御が困難となる症候群である。ジストニアに共通の生化学的カスケードは見つかっておらず現段階ですべてのジストニアの治療に関して共通の標的となる分子は存在しない。その詳細な発症機序は未だ不明であるが、大脳基底核を中心とした運動制御ループ、特に大脳基底核の機能異常によると考えられている。一方で、近年小脳の異常もジストニアを起こすことが報告されてきた。本研究では、大脳基底核の異常、小脳の異常、それぞれのジストニアモデルマウスを作成し、共通の要素を探索し、発症機序のさらなる解明と新たな治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
深部小脳核にウアバインを持続投与することで小脳性ジストニアモデルマウスを作成し、免疫組織学的に大脳基底核の各要素の神経細胞の活性化をimmediate early geneの一つであるc-fosを指標として評価した。線条体においては神経細胞の活性化はコントロールと有意差はなかったが、その内容を比較すると、パルブアルブミン陽性介在ニューロンの活性化が有意に上昇しており、中型有棘細胞の活性化は有意に減少していた。興味深いことに、ジストニアにおいて活性化が示唆されているアセチルコリン作動性ニューロンの活性化はまったく認められなかった。ネットワークレベルでの変化を調べるために、解剖学的下流の神経核においての神経細胞の活性化を評価したところ、淡蒼球内節(脚内核)、黒質毛様部や淡蒼球外節の神経細胞活性化が認められた。線条体レベルでパルブアルブミン陽性介在ニューロンの活性化により、直接路、間接路双方が抑制された結果と考えられた。そこで、直接路を活性化するD1アゴニスト、関節路を活性化するD2アンタゴニストを腹腔内投与し、ジストニア症状の変化を観察したところ、有意な改善が得られた。パルブアルブミン陽性介在ニューロンの活性化が一時的なものか、二次的なものかを調べるために、線条体にイムノトキシンでラベルした抗パルブアルブミン抗体を注入したところ、有意なジストニア症状の軽減を得た。これらの結果から小脳性ジストニアモデルにおける線条体のパルブアルブミン陽性介在ニューロンの活性化は病態の主要な原因であると考えられ、治療のターゲットになる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小脳性ジストニアモデルにて、線条体パルブアルブミン陽性介在ニューロンが活性化していることを発見しDisease Model Mechanisms誌に投稿した。もうひとつの前頭葉皮質刺激によるジストニアモデルにつき引き続き研究を行っていくが、現在計画のおおよそ半分の結果が得られており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前頭葉からの前向性アデノ随伴ウィルス(AAV)を用いたトレーシング実験を継続する。前頭葉皮質から脳線条体ストリオソーム分画に有意に入る部位の同定が証拠強固なものになるように、電気刺激、光遺伝学的手法にて線条体側の反応とジストニア症状につき検討する。その後、小脳性ジストニアで行ったのと同様の免疫組織学的な手法を用いて、いずれの神経核や神経細胞が活性化しているのかをc-fosによる免疫染色で順次検証していく。
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