研究課題/領域番号 |
23K08524
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高城 朋子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (50972345)
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研究分担者 |
花谷 亮典 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (60304424)
米澤 大 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (50550076)
比嘉 那優大 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90792200)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 膠芽腫 / Proneural type / Mesenchymal type / 膠芽腫サブタイプ / ヒストン脱アセチル化酵素 / HDAC7 / ミトコンドリア代謝酵素 / NNT / ヒストン脱アセチル化酵素 HDAC7 |
研究開始時の研究の概要 |
根治困難な膠芽腫は、特定の遺伝子発現の違いで4つのサブタイプに細分化される。中でもProneural typeとMesenchymal typeの2つが主要なサブタイプであり、Proneural typeからMesenchymal typeへの遺伝子発現変化はさらなる悪性化を伴う。この悪性化にはヒストン脱アセチル化酵素HDAC7が関与しており、また、HDAC7とミトコンドリア代謝酵素NNTが結合もしくは複合体を形成している可能性が見出された。 本研究では、HDAC7とNNTがどのような相互作用により膠芽腫のさらなる悪性化に関与するかを解明し、新たな治療戦略の探索に繋げることを最終目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、膠芽腫におけるProneural typeとMesenchymal typeの2つのサブタイプ間のさらなる悪性獲得に、ヒストン脱アセチル化酵素 HDAC7 とミトコンドリア代謝酵素 NNT の相互作用がどのようなメカニズムで影響を及ぼしているのかを解明することである。そして、根治困難な膠芽腫に対する新たな治療戦略の探索につなげることが最終目的である。これまでの研究で、HDAC7は膠芽腫において細胞質で高発現していることを明らかにし、その細胞質で高発現している HDAC7は、NNTと直接結合、もしくは複合体を形成している可能性を見出した。そこで、研究計画としてはまず、HADC7 と NNTが直接結合しているのか、もしくは複合体を形成しているのかを検証するため、以下2点の計画を予定していた。 ① 培養細胞を用いたHDAC7抗体とNNT抗体による蛍光二重染色 ② 培養細胞より抽出したタンパク質を用いた免疫沈降およびウェスタンブロット 当該年度において、実際に上記②の免疫沈降後のウェスタンブロットを試みたところ、HDAC7とNNTは直接結合していない可能性が見出された。しかし、この結果が抗原抗体反応の低親和性による結果であるのか、または単に結合していないだけのどちらなのかという確証は得られていない。 よって今後は、HDAC7 と NNT の直接結合の有無を消去法で検証するため、標的であるHDAC7 タンパク質にタグといった、いわば目印となる比較的短いポリペプチド鎖を融合させた遺伝子工学的手法を用いて、免疫沈降を試みる予定である。また同時に、当初の計画通り、培養細胞の蛍光二重染色も行い、2分子間の結合の有無の可能性を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究費の採択と同時に大学院博士課程に進学し、また1年次ということもあり、単位取得のための座学に割く時間も多かった。現時点での計画としての進捗はおおむね順調であるが、次年度からは学位論文執筆と研究を同時進行しなければならないことを考慮すると、進展へのスピードアップが望まれているだろうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では当初の計画通り進捗はしているが、研究標的タンパク質分子であるHDAC7に対し、直接HDAC7抗体を用いた免疫沈降およびウェスタンブロットの結果は、その抗原抗体反応における親和性の問題から確証が得られないという課題が残った。具体的には、ウェスタンブロットにおいての HDAC7 抗原抗体反応温度は37℃でしか親和性が得られず、一方で、免疫沈降においての抗原抗体反応温度は、タンパク質分解の抑制を考慮した4℃での反応が推奨されており、免疫沈降過程では、本来の十分な抗原抗体反応が得られていない上での結果ではないかという疑問が残されたままである。 以上の経緯より、今後はまず、抗体とも親和性が高いことが期待される比較的短いポリペプチド鎖であるタグを融合させた HDAC7タンパク質を発現する組み換え培養細胞より抽出したタンパク質を用いて免疫沈降を行い、HDAC7 と NNTが直接結合しているかどうかを検証していく方策である。
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