研究課題/領域番号 |
23K08555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
森下 登史 福岡大学, 医学部, 講師 (20750756)
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研究分担者 |
酒井 雄希 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (60714475)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トゥレット症 / 脳深部刺激療法 / 強化学習 / 誤学習 / 脳活動 / ネットワーク / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
トゥレット症は小児期に発症する、チックと呼ばれる不随意運動を特徴とする精神神経疾患であり、成長発達に伴い自然寛解する症例と重症化する症例が存在する。経時的な症状変化には脳神経可塑性変化が関わることから、「脳神経可塑性変化の発生過程を明らかにして治療の介入時期や方法を最適化することで不可逆的に病状を改善させられる」と仮説を立てた。この仮説を実証するため、数理モデルと機能的及び解剖学的な神経ネットワークの観点からその病態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
軽症から重症まで幅広いトゥレット症患者を対象にデータを収集した。重度の症例の多くは脳深部刺激療法の適応と判断され、手術が実施された。被験者の協力を得て計算論モデル確立に向けた強化学習課題によるデータ収集を精力的に行った。 2023年度は、脳深部刺激療法について症例報告3編の論文発表を行った。症例報告では、瞬きのチック症状に着目し、電極を淡蒼球内節に留置した症例における、脳微小破壊効果と呼ばれる電極留置自体による影響について報告を行った(Permana GI et al. Tremor and Other Hyperkinetic Movements, 2024)。 同報告では、電極留置部位が適切な場合はチック症状の改善が即時的に現れることを示した。脳深部刺激療法のトラブルシューティングについての症例報告を2編発表した。 学会活動としては、4月に米国ロサンゼルスで開催された American Association of Neurological Surgeons Annual meeting の Global Sympsium、および 8月には米国フロリダで開催された第11回 DBS Think Tank にそれぞれ招待を受け、本研究の成果の一部を発表した。DBS Think Tank については、発表抄録を論文の一部として発表した。日本脳神経外科学会学術総会を含む、複数の国内学会においても成果を報告した。 最後にアウトリーチ活動の一環として、日本トゥレット協会の支援を受けつつ2024年2月にトゥレット症当事者への講演会・交流会を開催し、一般へのトゥレット症に対する理解と本研究の目的について啓蒙を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は目標にしていたよりも被験者数自体は少ないものの、一例一例からは多くのデータを収集することができた。論文発表を行う上で必要なデータの蓄積は順調に進んでいる。一例の被験者から得られるデータは膨大であるため、適宜データクリーニングを行いつつ、着実に研究を進める必要がある。昨年度は論文や学会発表での実績も作ることができたため、研究の遂行状況としてはおおむね順調に進展してものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も幅広い重症度のトゥレット症患者からデータを収集することが重要となる。2024年2月17日に行った交流会では数多くの参加者を集めることができ、本疾患に対する社会的な関心の高さを伺うことができた。本研究は患者を対象とした臨床研究であるため、今後も多くの被験者を集める努力が必要であると考えられる。そのためには、引き続きトゥレット協会や当事者の会等と協力しながらアウトリーチ活動を積極的に行うことで、社会的認知度を高め、本研究を推進していく方針である。
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