研究課題/領域番号 |
23K08566
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
棚橋 邦明 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (90790717)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 髄膜腫 / メカノセンサー / NF2 / Hippo pathway / YAP / オルガノイド / 遺伝子変異 |
研究開始時の研究の概要 |
頭蓋底部に発生する髄膜腫は、脳神経を巻き込むように進展し、組織学的に良性であっても機能的予後不良である。本研究は、頭蓋底部に多く発生するNF2遺伝子野生型髄膜腫における、腫瘍進展メカニズムの解明を目的とする。NF2野生型髄膜腫では、細胞抑制性シグナルHippo pathwayが細胞の足場からのメカニカルな刺激を受けることで、腫瘍進展に関与する可能性をこれまでに報告した。髄膜腫オルガノイドモデルや髄膜腫マウスモデルを用いて、腫瘍細胞の足場環境によるHippo pathway関連遺伝子の発現変化を解析することで、メカノセンサー機構が頭蓋底部髄膜腫の発育進展様式に果たす役割を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
頭蓋底部に発生する髄膜腫は脳表部に発生する髄膜腫に比べ、その局在から外科的切除が困難である場合が多い。中でも硬膜に沿った進展様式を示す髄膜腫(en plaque meningioma)は、脳神経を巻き込んで発育するため、組織学的に良性であっても脳神経機能予後は不良となるが、このような腫瘍進展機序の詳細については未だ不明である。脳表部髄膜腫の多くはNF2遺伝子変異を発生起源とするが、頭蓋底部髄膜腫の多くはNF2遺伝子変異を認めないことが報告されている。このような進展様式を呈する髄膜腫において、NF2遺伝子が指令する抑制性シグナルがHippo pathwayを介して下流の転写共役因子であるYes-associated protein (YAP)へ作用することが、髄膜腫細胞の足場環境を検知するメカノセンサー機構に関与すると考え、研究を進めている。しかし一部の悪性髄膜腫を除き、髄膜腫の性質上、細胞株や動物モデルの樹立は難しく、その報告も限られている。まずはじめに髄膜腫の培養法を工夫し実験系を確立することが不可欠であり、我々はオルガノイド培養法を用いた髄膜腫新規培養法を確立した。マトリゲルを用いた三次元培養を行い、継代可能なスフェロイド形成が観察された。さらに培養した髄膜腫オルガノイドの分子プロファイリングを行ったところ、その由来腫瘍組織の形質が再現されていることが確認された。髄膜腫の発生部位別に髄膜腫オルガノイドを作成し、Hippo pathway関連遺伝子の発現解析やマウスモデル作成準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
髄膜腫の細胞株樹立が難しく、代替法としてのオルガノイド培養法を行っているが、検体ごとに発育状況が異なること、また髄膜腫の発生部位別に複数のオルガノイドを作成する必要があることから、髄膜腫検体収集・オルガノイドモデル作成に時間を要している。また、細胞株と異なりオルガノイド培養法ではマトリゲル内で三次元培養を行っており、アクリルアミド上に接着させて培養するための条件検討に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き髄膜腫検体収集とオルガノイドモデル作成を継続する。アクリルアミドゲルへの接着が困難な場合は、髄膜腫の発生部位別にマトリゲル内での三次元的な進展様式の違いを観察する。髄膜腫オルガノイドモデルにおけるNF2遺伝子やHippo pathwayをはじめとする足場環境にかかわる遺伝子発現や分布を解析する。RNAシーケンスによる遺伝子発現解析により、既存の公開プロファイリングデータとの比較検討を行う。髄膜腫オルガノイドモデルを胸腺欠損マウスの頭蓋内に接種し、髄膜腫マウスモデルにおけるHippo pathway関連遺伝子発現解析の準備を行う。
|