研究課題/領域番号 |
23K08570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
濱 聖司 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 研究員 (40397980)
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研究分担者 |
星 正治 広島大学, 平和センター, 名誉教授 (50099090)
切畑 光統 大阪公立大学, 研究推進機構, 特任教授 (60128767)
青木 一教 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60270675)
遠藤 暁 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90243609)
黒澤 真城 大阪大学, 核物理研究センター, 特任講師(常勤) (10462681)
服部 能英 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (50514460)
齋藤 太一 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (40457247)
堀江 信貴 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (70380912)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / アデノウイルスベクター / ホウ素修飾 / 悪性グリオーマ / ドラッグデリバリーシステム |
研究開始時の研究の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、腫瘍細胞に選択的に作用する唯一の放射線治療法で、腫瘍集積性の高いホウ素化合物の開発が重要な鍵となる。我々は活性化ドデカボレート類(ADB)を合成して化学修飾させたアデノウイルベクターを感染させることで、悪性グリオーマ培養細胞内にホウ素を導入できることを突き止めたが、導入できるホウ素量は必要量に遠く及ばない。そこで、精製したアデノウイルスベクターのゲノムをホウ素担体として応用する研究を行う。研究成果は今までにない画期的なドラッグデリバリーシステムにもつながる可能性がある。
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研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、腫瘍細胞に選択的に作用する唯一の放射線治療法で、腫瘍集積性の高いホウ素化合物の開発が重要な鍵となる。我々は活性化ドデカボレート類(ADB)を合成してアデノウイルベクターに化学修飾させてウイルス1個あたり4個のホウ素クラスターを結合させて、培養細胞に感染させる実験を行っている。これまでの実験では、細胞内、ならびに核内へのアデノウイルスベクターの移行は免疫染色法による確認しか行えていなかった。これまでの手法の問題点として細胞質など他の細胞分画成分の微量混入の可能性が挙げられた。そこで、収量が低下したとしても、細胞核成分の中に細胞質成分などが混入することを極力避けるために専用のホモゲナイザーと超遠心法で細胞核分画の抽出を行うことにした。また、収量が低下して抽出できる細胞核が非常に少ないことが予想されたことから、細胞核内へのホウ素修飾アデノウイルスベクターの有無は免疫染色ではなく、ホウ素濃度測定が必要と考えた。 そこで、専用のホモゲナイザーと超遠心を用いて核分画の分離を行った。そして、感染細胞、あるいは感染細胞から抽出した細胞核分画を㈱島津テクノリサーチに依頼してマイクロウェーブ分解―ICP質量分析法にて10Bを解析した。その結果、細胞内への移行は確認できたが、核内への十分量の移行は確認できなかった。単純にアデノウイルス表面の化学修飾では細胞核内へのホウ素化合物の十分量の移行は困難である可能性が示唆された。ただ、アデノウイルスベクターの表面を化学修飾しても、感染効率と遺伝子導入効率が保たれることは確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞核の分離技術と細胞内への移行を正確に検討するための手法を再検討していたため。しかし、従来の問題点が明らかとなり、今後の実験を正確に行うための準備が整ったことは非常に意味があると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、TPCが結合したLacZ発現アデノウイルゲノムを塩酸グアニジン溶液と超遠心で精製し、ELISA法、ICP質量分析で10B量を計測しながらADBを化学修飾させる(AxTPCgenADB)。そして、悪性グリオーマ培養細胞にAxTPCgenADBをリポソーム法などで導入し、LacZの発現をβ-gal染色で確認して遺伝子が細胞内に導入されたことをチェックしながら、核内への移行性と遺伝子発現能を保ったままで最大量のADBを結合させたAxTPCgenADBの反応条件を求める。 その後、細胞内、ならびに細胞核内への移行について、本年度の結果と比較・検討する予定である。
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