配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、特に悪性度の高い神経膠腫におけるTETの役割とその制御機構をヒストン修飾によるエピジェネティクス制御の観点から検討している。さらに治療抵抗性を示す一因である腫瘍幹細胞の分化、非対称性分裂にもTETが関与している可能性がある。TETの役割と制御機構を、DNAメチル化異常およびヒストン修飾によるエピジェネティック異常の観点から解明するとともに、TETを標的とした新たなエピジェネティクス治療の開発、応用につながる基礎研究を行うことが目的である。TETは代謝とエピゲノム異常のどちらにも関与する分子であり、神経膠腫のうちWHO grade 4に該当するIDH野生型膠芽腫、Diffuse midline glioma, H3K27M、高悪性度astrocytoma, CDKN2Aホモ欠失型の腫瘍化に関与している。 患者の手術摘出標本の遺伝子異常を評価し、これらの遺伝子異常を有する患者由来組織から腫瘍幹細胞を単離、培養し、継代可能で、かつ患者の腫瘍組織と同様の表現型をもつ腫瘍幹細胞株を樹立した。樹立が可能であった細胞株もあるが、樹立が難しい遺伝子異常を有する細胞もあった。IDH野生型に関しては、マウス脳内に梗塞を作り低酸素状況での腫瘍幹細胞を採取する予定であったが、腫瘍形成前にマウスが死亡するため、低酸素条件はインキュベーター内で行うことに変更した。各遺伝子異常を有する腫瘍幹細胞株を用いて、腫瘍細胞の幹細胞性の特徴である非対称性分裂を蛍光免疫染色法で検討した。TETの発現をmRNAレベルと蛋白レベルで評価し、細胞株間の差異を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者由来腫瘍幹細胞株の樹立を行った。患者の手術標本組織検体からDNAを抽出し、サンガ―シークエンス法およびMLPA法を用いて、代表的な脳腫瘍関連遺伝子異常(IDH1R132, IDH2R172, H3K27M, BRAFV600E, CDKN2A HD)を評価した。各遺伝子異常が確認された組織から、患者由来腫瘍幹細胞を単離・培養した。In vitroで培養したのち、マウスに脳内移植し、腫瘍幹細胞株をIDH1R132, IDH2R172, H3K27M変異株を得た。IDH野生型患者腫瘍組織から腫瘍幹細胞を培養した。中大脳閉塞マウスモデルの脳梗塞巣内に腫瘍幹細胞を移植したが、脳梗塞の影響が大きく、腫瘍幹細胞が定着、増殖し腫瘍塊を形成するまで、マウスが生存することはできなかった。低酸素条件下での実験は、in vitroの系で行うことにし、CO2インキュベーター内で酸素濃度5%、1%で培養した腫瘍幹細胞を使用した。 Stemness関連遺伝子発現および非対称性分裂解析については、腫瘍幹細胞を培養する際、接着細胞群とスフェロイド形成細胞群と分離して検討した. 腫瘍幹細胞マーカーであるCD133, CD44, SOX2, KLF4についてqRT-PCRを行った。非対称性分裂の頻度について、各細胞群で蛍光免疫染色法を用いて可視化を試みた。抗体はγ-Tubulin, Pancadherin, NuMA, DAPIを用いた。接着細胞群に対しスフェロイド形成群で非対称性分裂の頻度が高い傾向にあった。TET発現解析として、TET1, 2, 3のmRNA発現をqRT-PCR、各蛋白発現をウエスタブロッティングで測定した。TET1,2,3の発現量に細胞間の違いがあった。しかし、mRNA発現と蛋白発現は発現量に相関性がなかった。発現量は、IDH1遺伝子の変異との関連はなかった。
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