研究課題/領域番号 |
23K08588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
張 鍾穎 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00824195)
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研究分担者 |
由留部 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10514648)
角谷 賢一朗 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (10533739)
武岡 由樹 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (30943592)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 椎間板変性 / アディポネクチン / アディポロン / 抗炎症 / 椎間板 / 抗炎症作用 / AdipoRon |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪細胞から分泌される生理活性物質アディポネクチンは様々な生理活性を有することが報告されており、我々は過去の研究でアディポネクチンが椎間板でも抗炎症作用を有することを示した。それに引き続く研究としてヒト椎間板培養細胞やラット椎間板変性モデルを使用してアディポネクチンの抗炎症作用や細胞外基質異化抑制効果の経路を解明し、アディポネクチン受容体アゴニストであるAdipoRonの投与、その作用経路を抑制する薬剤やRNA干渉を用いたアディポネクチン作用の抑制を通じてアディポネクチンが椎間板の炎症や変性に及ぼす影響の解明を更に進めていく。
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研究実績の概要 |
椎間板変性は腰痛の主な原因の一つである。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つであり、抗炎症作用を有すると報告されている。また、アディポネクチンはAdipoR1やAdipoR2といった受容体に結合してその作用を発揮し、それら受容体の発現量が増強するとアディポネクチンの作用も増強することが報告されている。我々は過去にアディポネクチン受容体アゴニストであるアディポロンを用いてアディポネクチンが椎間板の炎症や変性へ及ぼす影響を調査し、アディポロンは細胞外基質異化因子や炎症性サイトカインの発現低下を通して椎間板変性進行の防止や予防に有用な可能性を報告した。アディポネクチンの臨床応用を目指し、今回はまず始めにアディポネクチン受容体アゴニストであるアディポロンの作用機序を明らかにするための実験を行うこととした。脊椎手術を施行された20~70歳代14例のヒト椎間板細胞を培養して6グループ(Control群: C群、アディポロン投与群: A群、IL-1β投与群: I群、アディポロン+IL-1β投与群: A+I群、アディポロン+IL-1β+AdipoR1 SiRNA投与群: A+I+R1 Si群、アディポロン+IL-1β+AdipoR2 SiRNA投与群: A+I+R2 Si群)に分け、細胞外基質代謝や炎症性サイトカインへの影響や炎症経路のタンパク発現をRT-PCR,蛍光免疫染色、Western Blotting法を用いて調査することを計画した。RT-PCR法でTNF-α、IL-6、MMP-13、ADAMTS-4についてI群とA+I群間では有意に発現低下を認めたが、A+I群とA+I+R1 Si群やA+I+R2 Si群の間には有意差は認めていない。蛍光免疫染色とWestern Blotting法でも同様の結果となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アディポネクチン受容体アゴニストで経口投与可能なアディポロンは臨床応用がよりしやすいと考えており、椎間板変性や抗炎症作用の作用機序を検討するにあたってin vitroの実験データが不足していると考え、まずアディポロンを用いたin vitro実験を計画し実験中であるが満足できる結果が得られていない。今後、使用試薬や実験手技の見直し、再検討、最適化などを行っていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro実験で満足がいく結果が得られなければ動物実験に進むことはできないと考えており、使用試薬の再検討や実験手技の見直し・最適化などを行い、in vitro実験で満足のいく結果が得られた後に動物実験を行いたいと考えている。動物実験ではコントロール椎間板、椎間板変性を惹起した椎間板、椎間板変性を惹起した椎間板にアディポロンを注射投与したもの、椎間板変性を惹起した椎間板にアディポロンとAdipo R1 SiRNAやAdipoR2 SiRNAを注射投与したもの、をそれぞれ作成し、X線検査、MRI検査、組織学的評価、RNAやタンパクレベルでの炎症性サイトカインや細胞外基質同化・異化因子の評価を行うことで、アディポロンを用いたアディポネクチンの椎間板における変性や炎症への作用機序をより明らかにしていく予定である。
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