研究課題/領域番号 |
23K08595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
見目 智紀 北里大学, 医学部, 講師 (00533324)
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研究分担者 |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 講師 (50547578)
大鳥 精司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40361430)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 腱板断裂 / 疼痛 / 組織修復 / シュワン細胞 / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の腱板断裂の有病率は20-22%に認められる頻度の高い疾患であり、腱板損傷患者の主訴の9割が痛みである(Am J Sports Med. 2006;34(2):256-64)。そのため、腱板障害の治療において疼痛コントールは極めて重要である。しかし、疼痛コントロールの第一選択となることが多いNSAIDsは腱板断裂の疼痛に対して有効性が乏しく、北米整形外科学会のガイドラインでは腱板断裂の保存加療に対するNSAIDsの使用はControversialとなっている。本研究では局所硬化ゲルを用いたシュワン細胞由来細胞外小胞の局所送達による新たな腱板断裂疼痛治療シーズの創出を目指す。
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研究実績の概要 |
基礎研究:ラット腱板断裂モデルを用いて、幹細胞上清液(SCS)による疼痛関連因子および組織修復因子の推移について検討を行った。方法:ラット腱板断裂モデルを作成。Control:腱板断裂閉創時にコントロール液(1% FBS)投与、1週で腱板採取, RCT群; 腱板断裂後1週で腱板採取, SCS群; 腱板断裂閉創時に幹細胞上清液投与、1週で腱板採取, 以上3群(各群n=5)にて疼痛関連物質の発現について検討した。結果:COX-2、TNFα、IL-1βも3群間に有意差を認めなかった。TGFβ,NGF,bFGFは3群間に有意差があり,コントロール群,SCS群,RCT群の順に高かったが有意差は認められなかった。VEGFは3群間に有意差があり、SCS群が最も低かったが有意差は認められなかった。はコントロール群が有意にRCT群よりも高かった.IL-6はRCT群がコントロール、SCS群よりも有意に低かった. 臨床研究:bFGFが腱板断裂した肩関節(GHJ)24肩の滑膜内に発現についてPCR法を用いて評価し、疼痛との関連を検討した。疼痛は術前の安静時痛, 動作時痛, 夜間痛についてNumerical rating scale(NRS)を用いて評価した. また、さらに術中に5人の患者から得られた滑膜組織から滑膜細胞を抽出し, α‐MEM(serumfree)にて培養後,FGF(10 ng/ml)を添加し, 24時間後の培養細胞培地によって発現されたmRNAをreal time PCR 法を用いて成長因子の発現量を測定した.GHJの滑膜中のbFGFは, 安静時痛と夜間痛との間に正の相関を認めた.また,GHJ内の滑膜細胞では FGF刺激によりVEGF, IL1-β, IL6, IL8, COX2 の遺伝子発現の産生が上昇した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点でSCSに著明な抗炎症作用は認められていないが、TGFβ、VEGF、NGF、bFGFと修復関連因子について腱板断裂と異なる変化が得られることがわかった。そのため、組織修復における有用性を示唆する結果と考え、引き続きnを増やすことと腱修復への関与について検討を行っていく。また、投与回数や時期についても検討を行っていく。そして、疼痛関連因子の減少に関与する他のエクソソームについても検討を行っていく。当初の仮説では幹細胞上清液(SCS)は抗炎症作用を示すと考えられていたが、組織修復因子の増強が主な作用と考えられる可能性が考えられた。そのためSCSは腱板断裂に対する疼痛軽減の治療シーズとして考えていたが、腱板修復の術後の臍断裂予防の治療シーズに有効な可能性が示唆されてきた。
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今後の研究の推進方策 |
腱板断裂に対する疼痛軽減の治療シーズとしてSCSを考えていたが、腱板修復の術後の臍断裂予防の治療シーズに有効な可能性が示唆されてきた。今後研究結果によってラットの腱板修復モデルの破談強度などの検討追加も考えている。また、組織修復因子であるNGF、VEGF、bFGF、TGFβの疼痛と組織修復それぞれに関与する経路について検討を行い、SCSが疼痛軽減につながるシーズとなりうるかも引き続き検討する。
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