研究課題/領域番号 |
23K08622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
森 芳史 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (60757954)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 変形性関節症 / deep learning / AI |
研究開始時の研究の概要 |
軟骨が変性しすり減る病態を解明するために、マウスに変形性関節症を人為的に生じさせ、組織を採取して切片を作製し、顕微鏡で観察する方法が用いられる。その際にどの程度軟骨が変性したかは、現在は一般的に人間が評価しているが、検者の主観に左右される点や、検者間で評価結果が異なってしまう点が問題となる。 本研究では、AIによって自動的に軟骨変性の程度を評価するシステムの開発を試みる。それによって、将来行われる多くの研究の妥当性や客観性を向上させることを目指す。
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研究実績の概要 |
変形性関節症(osteoarthritis, OA)を始めとする軟骨変性疾患の病態の解析や治療法の開発を目的とした研究において、実際に生体内で生じている現象を評価するため、マウスを用いたin vivo解析が盛んに行われている。本研究では、これらのin vivo研究で行われる組織学的解析の客観性を向上させるため、マウスの組織画像から、OAの進行度や軟骨破壊の程度などをAI技術により自動的に評価する技術の開発を試みている。 本年度は、その第一段階として、AI学習のためのデータセットに組み込む画像を収集するため、組織スライドの作製を進めた。マウスに対して外科的誘導OAモデルの一種であるDMM(destabilization of medial meniscus)モデルを導入した。その後、OAの進行段階が様々な組織画像を収集するするため、術後様々な時点で(術後6週、8週、12週、14週、15週、および16週)膝関節を採取した。この際、OAの進行度が軽度、あるいは重度のものに偏らないようにするため、適宜サンプルの組織学的評価を行い、その結果に応じて、以後サンプルを採取する時点を変化させた。さらに、OAが生じていない、あるいは進行度が軽度なサンプルを得るため、手術未施行の膝関節も同様に採取した。これらの膝関節サンプルを4%パラホルムアルデヒド/PBSで固定し、EDTAを用いて脱灰し、パラフィン包埋し、ミクロトームで薄切した。その後、Safranin-O染色を行った。以上により、新たに数百枚の膝関節の組織スライドを作製した。これらのスライドは、OAの進行が軽度のものから重度のものまで、多彩な進行度のものを含んでいた。 また、OAの多彩な病態に対応するため、DMMモデル以外の手法によるOAの誘導も試みた。具体的には、前十字靭帯切除モデルや、炎症誘発モデルも施行し、DMMモデルと同様にサンプル採取・組織染色によるスライド作製を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、多様なOAの進行度を持つ組織スライドを作製できた。今後、これらスライドの画像を取得し、既存の画像と併せることで、AIの学習に必要な数の画像からなるデータセットを構築できると期待できる。本研究では、まず充分な数の画像を確保することが必要となるが、この部分に関して、現時点で順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、本年度に多数作製した組織スライドの画像を取得する。これと以前の研究等で取得済みの画像を併せ、画像セットを構築する。必要に応じて、さらに画像を合成して追加する。これらの画像について教師データを作製し、AIの学習を行う方針である。
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