研究課題/領域番号 |
23K08644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 仁士 産業医科大学, 医学部, 准教授 (80644880)
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研究分担者 |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
川崎 展 産業医科大学, 医学部, 講師 (40644860)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バゾプレッシン / トランスジェニックラット / 線維筋痛症モデル / 線維筋痛症 / 慢性疼痛 / 下行性疼痛抑制系 / 抑うつ状態 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では線維筋痛症(FM)モデル動物を使用し、全身の広範な痛みと精神神経症状に関与している下行性疼痛抑制系の機能障害のメカニズムについて明らかにする事を目的とする。特に、下垂体後葉ホルモンであるバゾプレッシン(AVP)が下行性疼痛抑制系の賦活化や精神神経症状に関与するとの報告も見られ、視床下部AVPと下行性疼痛抑制系との機能連関に着目する。 AVPニューロンを緑色蛍光タンパクで可視化したトランスジェニックラット、およびAVPニューロンを特異的に活性化し、血漿AVP濃度を増加させるトランスジェニックラットを使用し、FMモデルにおけるAVPの動態とAVPの鎮痛、抗鬱効果について明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、人工受容体(薬剤興奮性受容体)遺伝子導入動物モデル、バソプレシン(AVP)-hM3Dq-mCherry トランスジェニック(Tg)ラットを用いて、レセルピン(Reserpine)を1日1回、3日連続で皮下注射を行い、レセルピン誘発性線維筋痛症(FM)モデルラットを作成した。対照群として、溶媒を皮下注射を行う溶媒群(Vehicle群)を設けた。さらに、薬剤興奮性受容体のhM3Dqの作動薬であるDeschloroclozapine(DCZ)を投与する群と溶媒(0.5% DMSO)を投与する溶媒群に分け、合計4群で実験を行った.レセルピンまたは皮下注射6日後に、DCZまたはDMSOを皮下注射120分後に灌流固定を行い、脳を摘出した。ミクロトームを用いて脳切片を作成した。これらの切片を用い、神経活性の指標となるc-Fos蛋白に対する免疫組織化学染色を行った。視床下部の室傍核および視索上核のhM3Dq陽性AVPニューロンにおけるc-Fos陽性ニューロン数を計測した。Vehicke+DCZ群およびReserpine+DCZ群において、それぞれの対照群と比較し、c-Fos陽性ニューロン数が有意に増加した。また、レセルピン皮下注射6日後に痛覚過敏の有無をvon frey testによって確認したところ、レセルピン+DCZ投与群ではレセルピン+DMSO投与群と比較して痛覚過敏の改善が認められた。一方でVehicle+DCZ投与群ではVehicle+DMSO投与群と比較してvon frey testによる痛覚過敏に違いを認めず、DCZ投与による痛覚過敏の改善はFMモデルラットのみに認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AVP-hM3Dq-mCherry Tgラットにレセルピン誘発性FMモデルを安定して作成することが可能であった。この動物モデルに対してDCZを投与することで視床下部視索上核および室傍核におけるAVPニューロンが活性化して血中AVP濃度が上昇し、痛覚過敏が改善することが明らかになった。概ね当初の仮説を裏付ける研究結果が得られており順調に研究は進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、AVP-hM3Dq-mCherry Tgラットを用いて、レセルピン誘発性線維筋痛症モデルラットを作成し、モデル作成6日後にDCZまたはDMSO投与後に痛覚閾値、不安様行動ならびにうつ様行動の変容について評価を行う予定である。さらに、モデル作成6日後、DMSOまたはDCZ投与後120分で灌流固定を行い、脳および脊髄を摘出し、薄切切片を作成する。青斑核 (LC)、背側縫線核(DR)および中脳水道灰白質(PAG)を含む脳切片を用いて、免疫組織化学染色法を用いて、ノルアドレナリン系(LC)およびセロトニン系(DR・PAG)の発現動態を評価する予定である。
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