研究課題/領域番号 |
23K08650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
加藤 仁志 金沢大学, 附属病院, 助教 (30584841)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 転移性骨腫瘍 / 凍結療法 / 免疫増強 |
研究開始時の研究の概要 |
先行研究において転移性骨腫瘍の局所凍結処理モデルを確立させ、アブスコパル効果やアジュバント付加による相加・相乗効果を証明してきた。抗原を保ちつつ腫瘍細胞を死滅させるという点において凍結療法は他の局所療法に比べて優位である。 本研究ではこれまでの研究を発展させ、生体内での放射線療法、ラジオ波焼灼療法、凍結療法によるアブスコパル効果の違いを明らかにする。また、アジュバント(抗PD-1抗体)による相加・相乗効果に関しても比較して、免疫効果の最大化を目指す。本研究の成果は、手術加療に局所凍結療法を併用することで、免疫療法を付加し腫瘍の長期制御・根治を目指すハイブリット手術の開発に貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、転移性骨腫瘍モデルマウスを用いて、生体内の局所放射線療法、ラジオ波焼灼療法、凍結療法によるがん特異的免疫増強効果(Abscopal効果)を検証し、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)による相加・相乗効果による効果の最大化を目指すことを目的としている。 C3H/HeSlcマウスの両側脛骨にマウス乳癌細胞を植え込み、骨転移モデルを作成した。左側腫瘍は局所治療として凍結療法(CA)、ラジオ波焼灼療法(RFA)、放射線療法(RT)を施行し、右側腫瘍は未治療としてAbscopal効果を評価した(Abscopal tumor: AT)。各局所療法を行った3群と無治療のコントロール群の系4群に分けて比較した(各群n=8)。ATの経時的な腫瘍サイズ縮小率および免疫染色を用いた免疫関連細胞浸潤の強度を比較検討し、各群でAbscopal効果の評価を行った。 各局所療法から14日目のAT腫瘍サイズ変化率の中央値は、コントロール群 1.84、CA群 0.34、RFA群1.00、RT群0.76とコントロール群以外すべての局所療法で縮小傾向を認めた。各局所療法同士の比較ではCA群とRFA群でのみ有意差を認め、CA群で強い腫瘍縮小効果を認めた。免疫病理学的評価ではAT腫瘍においてCD4陽性細胞数、CD8陽性細胞数がコントロール群に対してCA群、RFA群、RT群それぞれで優位に多く、CD8陽性細胞数はCA群でRFA群より優位に増加を認めた。免疫抑制の指標であるFOXp3はコントロール群に対してCA群とRT群で優位に低値を認め、RFA群とは有意差を認めなかった。 転移性骨腫瘍モデルにおいて凍結療法、ラジオ波焼灼療法、放射線療法それぞれで腫瘍縮小効果が得られることを明らかにし、免疫病理学的評価の結果も踏まえるとラジオ波焼灼療法より凍結療法において強いアブスコパル効果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの局所療法においてコントロール群に対して有意な遠隔腫瘍の縮小効果を示すことができ、RFA群に対してより強いアブスコパル効果がCA群で得られることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究でサイズ変化による腫瘍縮小効果と免疫病理学的評価によるAT腫瘍局所の免疫状態を確認できたため、今後は脾臓のフローサイトメトリーによる末梢の免疫学的評価を行っていきたい。 脾臓細胞のリンパ球を抽出して、CD4陽性細胞、CD8陽性細胞、FOXp3陽性細胞、INF-γ陽性細胞の割合を比較する。すでに試薬を購入してフローサイトメトリーの予備実験は行っている。
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