研究課題/領域番号 |
23K08653
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
近藤 彩奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (80910512)
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研究分担者 |
藤原 智洋 岡山大学, 大学病院, 講師 (80639211)
吉田 晶 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 技術職員 (00910514)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 軟部肉腫 / 腫瘍微小環境 / 腫瘍微小環境標的薬 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
昨今の軟部肉腫治療において、肉腫細胞自体を標的とする治療法は限界を迎えているとする報告が増えている。申請者らは骨肉腫の腫瘍微小環境を標的とした免疫療法に着目し、特に抗TAM治療の有効性を報告した。しかし軟部肉腫における抗TAM治療の効果は明らかになっておらず、現在の標準治療との併用効果も未知である。軟部肉腫の生命予後の改善のため、抗TAM治療と標準治療の複合療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は軟部肉腫に対する標準治療役と腫瘍微小環境標的薬の併用による新規治療法の開発を目的とする。そのための[1]分子生物学的アプローチ(軟部肉腫の化学療法抵抗性におけるTAMの役割の解明と抗TAM治療と標準化学療法との併用療法の有効性と安全性の検討)と[2]臨床病理学的アプローチ(患者由来軟部肉腫組織におけるTAM・リンパ球等の免疫細胞を含む腫瘍微小環境の統合的解析と標準化学療法に対する奏効性および臨床予後との解析)の双方から研究をおこなった。 [1]ではまず、軟部肉腫における治療抵抗性の原因究明として、western blotやPCR法などのin vitro実験をおこなった。腫瘍細胞は腫瘍微小環境を構築し、進展していくためのシグナルやサイトカインを分泌していること。こうして構築された腫瘍微小環境は治療抵抗性の一因を担っていることが判明したことから、腫瘍微小環境の構成要素を標的とした治療は軟部肉腫治療における新たなアプローチとなりうることが示された。これらの結果を元に、腫瘍細胞皮下移植マウスモデルを用いてin vivo実験を行なった。マウスを無治療群、標準治療群、腫瘍微小環境標的薬、標準治療+腫瘍微小環境標的薬併用群に分けて処置を行なったところ、腫瘍微小環境標的薬群は標準治療群と遜色ない抗腫瘍効果を示し、標準治療+腫瘍微小環境標的薬併用群は標準治療群よりも強力な抗腫瘍効果を示した。 [2]として実際の軟部肉腫患者における腫瘍微小環境の役割を調査した。当院にて標準治療を受けた軟部肉腫患者の化学療法奏効性と臨床予後の関連と、同患者の病理検体の評価から、軟部肉腫患者においても腫瘍微小環境が治療抵抗性に関与している可能性があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、[1][2]ともに目的としていた進捗を達成できている。残りの期間や科学研究費用は、[1]においてマウスを対象としていた実験を、ヒト軟部肉腫細胞株とヌードマウスを用いることで、より臨床的な条件での実験へ充てる予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
我々が行なってきた実験ではマウスの軟部肉腫細胞株を使用しており、薬物動態の理解や薬理・薬効について十分な結果が得られた。しかし腫瘍微小環境標的薬が新たな治療法として臨床応用されるには、より実践的な条件での実験が必須であると考えられる。そのためヒト軟部肉腫細胞株とヌードマウスを用いたin vivo実験を行い、より臨床的な条件での結果を確認してく予定である。
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