研究課題/領域番号 |
23K08661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
藤田 順之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30348685)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 黄色靭帯肥厚 / 腰部脊柱管狭窄症 / 酸化ストレス / 黄色靭帯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、腰部脊柱管狭窄症に対する新規予防及び治療を開発することを目指して、黄色靭帯肥厚における酸化ストレスの潜在的関与を明らかにし、同病態に対する抗酸化剤投与の効果について検証することである。方法としては、120例以上の手術サンプルを用いて、黄色靭帯肥厚と酸化ストレスの関係を検討し、in vitroでは黄色靭帯由来のprimary細胞を用いて酸化ストレスの下流シグナルまで検証する予定である。in vivoではラット黄色靭帯肥厚モデルを確立し、抗酸化剤N-acetyl cysteine (NAC)を用いて、その効果を黄色靭帯肥厚マーカーの変動、組織、画像解析により評価する。
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研究実績の概要 |
まず最初に、腰椎変性疾患に対して手術を行い、術中に黄色靭帯を採取した47例を対象とした。術前MRI横断面から採取高位の黄色靭帯面積を測定し、術中サンプルへ酸化ストレスマーカー 8-OHdGと、炎症性サイトカインTNF-αの免疫染色を行い、陽性細胞数をそれぞれ算出した。黄色靭帯細胞を用いた培養実験では、TNF-α、酸化ストレス誘導物質BSO 、抗酸化剤N-Acetyl Cysteine(NAC)が用いられた。細胞内の活性酸素種測定はMitoTracker&174;プローブが用いられ、mRNAの発現量の測定にはreal-time RT-PCR解析、タンパクのリン酸化に関してはWestern blotting解析、I型コラーゲンの前駆体であるプロコラーゲンIα1の発現量の測定にはELISA法が行われた。【結果】8-OHdGの陽性細胞数と黄色靭帯面積の間には弱いながらも有意な相関(r=0.33)があり、8-OHdGとTNF-αの陽性細胞数の間にも中等度の正の相関(r=0.48)が認められた。黄色靭帯細胞にBSOとTNF-αを添加培養したところ、細胞内の活性酸素種に有意な上昇が認められ、黄色靭帯肥厚のマーカーであるcol1とcol3のmRNAの発現上昇も認められた。これはNACにより阻害された。タンパクレベルでは、プロコラーゲンIα1が、BSO添加により上昇し、NACにより阻害された。下流シグナルにおいては、BSO、TNF-αの刺激によりp38、ERK、p65のリン酸化が認められたが、NAC投与によりリン酸化は軽減した。【考察および結論】黄色靭帯肥厚では、下流シグナルを介して、酸化ストレスが関与していると考えられた。更に、NAC投与によりリン酸化は軽減し、プロコラーゲンIα1の発現量も低下したことから、酸化ストレスは黄色靭帯肥厚における標的因子の一つである可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り遂行することが出来ました。
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今後の研究の推進方策 |
今後、in vivo解析にて、ラット黄色靭帯肥厚モデルを作成する予定であり、作成方法については、Wangらが発表しているように、標的とする高位の棘突起、椎間関節を含む後方支持組織を一部切除する予定である。本モデルに対しては当学が所有する動物実験用MRIを用いて黄色靭帯肥厚の有無を確認した後、黄色靭帯組織においても肥厚マーカーであるcollagen 1、collagen 3、collagen 6の発現上昇をmRNAレベル、タンパクレベルで確認する予定である。これらのサンプルにおける8-OHdG、TNF-α、IL-1β、IL-6の発現を免疫染色やELISAなどで解析し、酸化ストレスおよび慢性炎症の上昇について確認する。最終的には本実験モデルにNACを投与することによって黄色靭帯肥厚が抑制されるか否かを検 証する予定である。
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