研究課題/領域番号 |
23K08664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
内田 宗志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60330990)
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研究分担者 |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
山中 芳亮 産業医科大学, 医学部, 講師 (60644862)
塚本 学 産業医科大学, 医学部, 講師 (70778159)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 股関節 / 大腿骨寛骨臼インピンジメント / 寛骨臼形成不全 / 変形性股関節症 / リラキシン / リラキシンファミリーペプチド受容体1 / リラキシン受容体 / 股関節唇 |
研究開始時の研究の概要 |
大腿骨寛骨臼インピンジメント および寛骨臼形成不全は次第に軟骨が損傷され変形性関節症 (OA) へと進行する病態である。最近関節鏡視下手術による治療体系が確立し、早期発見・早期治療により進行予防が期待される。一部術後成績不良例があり、その原因としてペプチドホルモンのリラキシンによる影響も一つの原因として考えられる。股関節疾患におけるリラキシンとリラキシン受容体の発現に関する研究はほとんどなされていない。 本研究の目的は、股関節唇損傷患者の股関節組織におけるリラキシンおよびリラキシン受容体の発現と局在および関節症発生への影響を分子生物学的および組織化学的に調査することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、股関節唇損傷患者の股関節組織におけるリラキシンおよびリラキシン受容体の発現と局在を、分子生物学的および組織学的に調査することである。当該年度においては、マウスおよびヒトの股関節組織についてリラキシンおよびリラキシンファミリーペプチド受容体1(RXFP1)のタンパクおよびmRNAの発現を調べた。 8週齢オス、メスマウス股関節のパラフィン包埋切片を作成し、免疫細胞化学でRXFP1発現を確認した。オス、メスともに大腿骨頭の硝子軟骨でRXFP1陽性細胞を認めた。また、RXFP1の遺伝子発現をReverse transcriptase(RT)-PCRを用いて調べた。マウス股関節から大腿骨頭を摘出し、RNAを抽出した。既知の遺伝子データベースからRXFP1のプライマーを作成し、RT-PCRで遺伝子発現を調べた。同定した。In situ hybridizationではマウス股関節でmRXFP-1を検出できなかった。 ヒトについては大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)および寛骨臼形成不全(DDH)、人工股関節全置換術(THA)を行った変形性股関節症(OA)患者、計41例の患者組織サンプルを採取した。部位は滑膜、軟骨(CAM病変の非荷重部分の軟骨)、関節唇、および関節包靭帯である。組織中のリラキシンおよびRXFP1の発現を調べるため、免疫細胞化学を行った。同時に、隣接切片を用いてHE染色およびMasson trichrome染色を行い、組織の形態評価を行った。免疫細胞化学によりRXFP1の発現が見られた例の内訳はFAI患者 3例(男性2例、女性1例)、OA患者 6例(男性2例、女性4例)であった。部位別には関節包4例、股関節唇5例、CAM軟骨3例であった。関節包、股関節唇、CAM軟骨でRXFPsの発現はを示した先行研究は現時点で渉猟し得ず、本研究の重要な成果の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、マウス股関節組織の免疫細胞化学では、オス、メスともにおいて大腿骨頭の硝子軟骨および線維軟骨にRXFP1免疫反応陽性細胞がオス、メスともに存在を認めた。していることが示されたを。今後は若年と高齢を比較するなど追加で実験を行う予定である。マウス股関節切片の In situ hybridizationを行ったが、骨組織がスライドグラスから剥がれる問題があり反応が不良であった。ベイキングにより硬組織の剥離が起こっていると考えられ、脱灰期間を増やすなど条件を再検討して次年度に再実験を行う。 ヒト臨床検体を用いた実験についてはFAI患者25例(男性11例、女性14例)、OA患者16例(男性5例、女性11例)の計41例の患者組織サンプルを採取した。当初の計画では初年度に準備段階として関節鏡手術を施行するFAI患者、DDH患者およびTHAを行うOA患者から、術中に組織を採取する (各 n=10 男性 5 女性 5)とした。計画以上に当該研究は進んでおり、順調である。また、免疫細胞化学によるRXFPsの発現評価を19症例で行った。RT-PCRとIn situ hybridizationの準備も完了している。一方で、細胞培養研究については細胞株を用いた実験まで行っているが、患者組織からの細胞抽出、培養は次年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は採取サンプルのデータと患者特性のデータをまとめて整理し、リラキシンおよびリラキシン受容体の発現と下記の項目をFAI、DDHおよびOAの症例のそれぞれ男性女性のサブグループで比較検討する予定である。また、遺伝子の発現 (リラキシン関連、エストロゲン関連、MMP関連、筋芽細胞特異的遺伝子α-SMA)をQuantitative Real-Time PCR (qRT-PCR)で定量的に評価を行う。患者組織を用いたリラキシンおよびその受容体の発現と局在を調査することによって臨床症状と患者特徴との関連性を把握する目的に従って、組織学的・分子生物学的な解析を進展させる予定である。
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