研究課題
基盤研究(C)
マルファン症候群はFBN1遺伝子の変異に起因する遺伝性疾患であり、大動脈病変や眼症状に加え、特徴的な筋骨格系の症状を呈する疾患であるが、筋骨格系の表現型に関する基礎的検討はほとんど行われていない。近年、マルファン症候群において筋量が大動脈病変や生命予後の予測因子となる、という報告がなされており、マルファン症候群患者におけるサルコペニアの管理に注目が集まっている。そこで本研究ではマルファン症候群症例での身体組成やエネルギー代謝状態を体組成計での計測を通じて包括的にとらえ、FBN1遺伝子変異パターンとの関連を明らかにし、栄養管理を含めた生活指導の指標を確立することを目的に研究を行っていく。
本研究では申請時点で以下のサブテーマにわけて研究を遂行する予定になっていた。1)マルファン症候群症例の体組成分析および遺伝子変異パターンとの関連の解明2)マルファン症候群症例の筋検体を用いた病理組織解析および網羅的遺伝子発現解析3)マルファン症候群のマウスモデル検体を用いたin vivo/ex vivo解析研究の全体像しての実施計画に大きな変更はない。1)については、すでに大型の体組成計を購入し、データ収集を開始しているため、本サブテーマについては順調に推移している。2)、3)については現在、実験の下準備をしている段階である。またFBN1変異に起因するマルファン症候群の側弯症症例17例の術前MRI画像解析を通じて、マルファン症候群症例では、コントロール群として設定した年齢・性別をマッチさせた特発性側弯症症例17例との比較において、大腰筋や脊柱起立筋などの傍脊柱筋群が体格補正で有意に筋断面積が小さく、また筋肉内の脂肪変性が進行していることを見出し、学術誌に投稿・発表した。(Yoshida Y, Taniguchi Y. et al. Medicine (Baltimore). 2023 Sep 29;102(39):e35382.) マルファン症候群における脊柱矢状面バランス不良や脊柱変形発症の機序の解明につながる知見であり、また本研究課題の仮説を立証する重要な成果であり、初年度にある一定の結果を出すことができたと考えている。引き続き本研課題の解明に取り組んでいく予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
前述のとおり、初年度にすでに学術誌に一定の成果を投稿・発表できており、予定以上に進捗していると考えられる。初年度の研究の進捗が想定以上であったため、研究費の前倒し請求を初年度に行っている。
前述のとおり、以下のサブテーマに従って、予定通り研究を推進していく予定である。1)マルファン症候群症例の体組成分析および遺伝子変異パターンとの関連の解明2)マルファン症候群症例の筋検体を用いた病理組織解析および網羅的遺伝子発現解析3)マルファン症候群のマウスモデル検体を用いたin vivo/ex vivo解析研究の全体像しての実施計画に大きな変更はない。1)については、すでに大型の体組成計を購入し、データ収集を開始しており、2)3)については現在、実験の下準備をしている段階である。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Medicine (Baltimore).
巻: 102(39) 号: 39 ページ: e35382-e35382
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10.1097/brs.0000000000004658
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巻: 13(1) 号: 1 ページ: 7862-7862
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http://www.u-tokyo-ortho.jp/