研究課題/領域番号 |
23K08681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
唐杉 樹 熊本大学, 病院, 講師 (80706482)
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研究分担者 |
徳永 琢也 熊本大学, 病院, 特任助教 (60759520)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 腱板断裂 / 腱板修復術 / 加齢 / ScxGFP ラット / 腱板修復メカニズム / 再断裂 |
研究開始時の研究の概要 |
腱板断裂は中高年に多く認められ肩関節の機能障害の原因となるが、修復術後の腱骨付着部の治癒能は限られており社会復帰に長期間を要し、また再断裂は稀ではない。申請者らはこれまでに腱板および腱骨移行部の修復に寄与する細胞として転写因子のscleraxis (Scx)を発現する細胞を見出したが、その動員に影響を及ぼす環境因子については不明な点が多く特に加齢の影響については未解明である。申請者らはScxの発現をGFPで追跡可能なScxGFP ラットを新規に樹立した。本研究ではこの遺伝子改変ラットの成熟個体と老齢個体の腱板修復モデルを用いて、加齢が腱板修復メカニズムに及ぼす影響の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
腱板断裂は中高年に多く認められる疾患で肩関節の痛みや機能障害の原因となる。加齢は腱板修復術後の再断裂のリスク因子と報告されているが, 腱骨間の修復過程における加齢の影響については未だ不明な点が多い。申請者らはこれまでに腱板および腱骨移行部の修復に寄与する細胞として転写因子のscleraxis (Scx)を発現する細胞を見出し、このScxの発現をGFPで追跡可能なScxGFPラットを新規に樹立し、その腱板修復部にScx陽性細胞を同定することが可能となった。本研究ではこの遺伝子改変ラットの成熟個体と老齢個体の腱板修復モデルを用いて、加齢が腱板修復メカニズムに及ぼす影響の解明を目指している。 当該年度の本研究の研究実績としては以下に示す各解析に対する条件検討を行い、それぞれ解析が可能であることを実証した。ScxGFP遺伝子改変ラットを用いて棘上筋腱を付着部で切離後に縫合する腱板修復モデルを作製し、凍結非脱灰切片を作製し、HE染色で組織学的成熟(血管数, 細胞数)を、修復組織のコラーゲン線維配列をsecond harmonic generation (SHG)で評価し判定量的スコアを算出した。ScxとSox9発現細胞を免疫染色で評価し、術後2・6週の修復組織から抽出したmRNAを用いて定量PCRを行い, 腱軟骨分化マーカーの遺伝子発現を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも示したように、本研究の目的はScxGFPラットの成熟個体と老齢個体の腱板修復モデルを用いて、加齢が腱板修復メカニズムに及ぼす影響の解明を目指すことである。そのために必要な各研究手法である、ScxGFP遺伝子改変ラットに対する腱板修復モデルの作製、その組織に対する凍結非脱灰切片の作製、切片のHE染色による組織学的成熟度の評価、second harmonic generationによるコラーゲン線維配列の評価、ScxとSox9発現細胞の免疫染色による評価、修復組織から抽出したmRNAを用いた定量PCRによる腱軟骨分化マーカーの遺伝子発現の評価が可能であることが確認できた。今後ScxGFPラットの成熟個体と老齢個体の腱板修復モデルを用いて比較検討することにより、加齢が腱板修復メカニズムに及ぼす影響の解明を目指す基盤が出来たと考えられるため、研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、新たに作製したScx発現細胞の局在をGFPで追跡可能であるScxGFP遺伝子改変ラットを用いたものであり、特にScxGFP遺伝子改変ラットの老齢個体を用いて、腱板修復機転における加齢の影響の解明を試みる本研究はこれまでに例がなく独自性が高い。今後ScxGFPラットの成熟個体と老齢個体の腱板修復モデルを用いて比較検討することにより、加齢が腱板修復メカニズムに及ぼす影響の解明を目指す予定としている。さらに将来的には、当教室がこれまでに行ってきた薬剤の局所投与と組み合わせた研究が可能と考えている。
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