研究課題/領域番号 |
23K08699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本村 悟朗 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50529857)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 大腿骨頭壊死 / 神経成長因子 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性大腿骨頭壊死症において壊死骨に対する生体の修復反応(添加骨形成)が圧潰メカニズムに重要と考えられているが、その詳細な病態は不明である。本研究では骨壊死修復過程に神経成長因子が関与しているのではないかと仮説を立て、ヒト骨頭標本ならびにマウスの虚血性骨壊死モデルを用いて修復反応と神経成長因子との関連性を検討する。
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研究実績の概要 |
特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)の健常域と壊死域との境界(境界域)は修復の最前線と考えられており、組織学的には壊死骨梁に対する添加骨形成により生じた肥厚骨梁を認めることが知られているが、添加骨形成のメカニズムは不明である。我々は、骨形成因子として重要とされる神経成長因子(NGF)が境界域における骨形成に関与していると仮説を立て、病理組織学的に検討を行った。まず、NGFの免疫組織化学的染色を行いONFH骨頭におけるNGF発現の有無を評価したところ、調査した全骨頭内にNGFの発現を認めた。NGFは境界域に局在しており、壊死域や健常域にはほとんど発現を認めなかった。次に、壊死域、境界域、健常域におけるNGFの発現量を定量的に評価し、境界域におけるNGFの発現量と骨微細構造パラメータ(BV/TV、Tb.Th.、Tb.Sp.、BMD)との関係を評価したところ、境界域におけるNGFの発現量と骨微細構造パラメータにはすべて有意な相関を認めた。現在論文作成中であり、今後投稿予定である。 ONFHにおける骨頭圧潰メカニズムは未だ不明であるが、我々は境界域に骨硬化性変化が出現することで同部に応力が集中するようになり隣接する壊死域との間にshear stressが生じ軟骨下骨折をきたすと仮説をたて研究を進めている。今回、未圧潰骨頭における外側境界域の骨密度をCTを用いて評価し、その後の圧潰発生との関連をレトロスペクティブに検討した。結果、CT撮影から3ヶ月以内で圧潰発生に至った症例群では未圧潰群に比べて有意に境界域の骨密度が高いことが示された。本研究内容はClinical Biomechanics誌に掲載された。 これまでの研究成果を元にONFHの圧潰シミュレーションを可能とする有限要素モデルを開発した。現在論文作成中であり、今後投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腿骨頭壊死症の圧潰メカニズム解明を目的とした本課題において、仮説をサポートする知見が得られていること、論文のアクセプト状況から学術的な評価も得られていると判断でき、概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
未圧潰の大腿骨頭壊死症例を前向きに追跡調査することを目的としているコホート研究を進めており、今後は開発した圧潰シミュレーションモデルにより圧潰予測が可能か登録症例を対象に検討する予定である。
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