研究課題/領域番号 |
23K08700
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠藤 誠 九州大学, 大学病院, 講師 (40713433)
|
研究分担者 |
藤原 稔史 九州大学, 大学病院, 助教 (20644800)
鍋島 央 九州大学, 大学病院, 助教 (90908683)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
骨軟部腫瘍に対する精密個別化医療推進のため、特に近年発展著しいがん免疫療法およびがんゲノム医療に注目し、骨軟部腫瘍への応用拡大ならびにがん免疫療法とゲノム医療を掛け合わせた両者の併用療法の開発を目指した研究を計画した。具体的には、がん免疫療法およびがんゲノム医療に関連する新規治療標的の探索および治療標的分子を高発現する症例の臨床病理学的特徴の解析を並行して行い、骨軟部腫瘍に対する治療標的候補として有望な分子を同定する。その上で、複数の免疫療法やゲノム医療を組み合わせた最適化された精密個別化医療を開発し、さらに、効率的に対象患者を同定するためのスクリーニング法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
平滑筋肉腫は四肢や体幹、頭頸部や後腹膜など全身のあらゆる場所に生じ得る悪性軟部腫瘍であり、切除可能であれば手術による外科的切除が有効であるが、切除不能なものに対しては有効な治療方法がなく、特に遠隔転移がある場合は5年生存率が20%を下回り、極めて予後不良である。そのため、転移性平滑筋肉腫に対する新たな治療方法の開発が望まれている。 平滑筋肉腫の肺転移巣を確認すると、原発巣と比べて細胞傷害性T細胞(=CD8+ T細胞)の浸潤が著しく減少していることが明らかとなり、平滑筋肉腫においてもCD8+ T細胞の浸潤が多いと予後が改善する可能性が示唆された。平滑筋肉腫の肺転移でCD8+ T細胞の浸潤が減少する原因を同定するために遺伝子発現解析を行ったところ、肺転移で発現が上昇している上皮細胞接着因子(EPCAM)が関わっている可能性が示唆された。これを検証するため、ヒト平滑筋肉腫細胞株のEPCAMを阻害またはノックダウンし、CD8+ T細胞の遊走に影響があるかを調査した。その結果、EPCAMを阻害した場合とノックダウンした場合の両方で、CD8+ T細胞の遊走が有意に増加した。 以上の結果から、平滑筋肉腫の肺転移では原発と比べてEPCAMの発現が上昇しており、CD8+ T細胞の浸潤を阻害していることが明らかとなり、EPCAMを阻害することでCD8+ T細胞の浸潤は回復し、抗腫瘍効果を発揮して予後を改善することが期待される結果を得た。同内容を英文論文化し、発表した(Kanahori M, Shimada E, Matsumoto Y, Endo M, Fujiwara T, Nabeshima A, Hirose T, Kawaguchi K, Oyama R, Oda Y, Nakashima Y. Immune evasion in lung metastasis of leiomyosarcoma: upregulation of EPCAM inhibits CD8+ T cell infiltration. Br J Cancer. 2024 Apr;130(7):1083-1095.)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肉腫におけるがん免疫療法・がんゲノム医療の新規標的の探索において有益な結果が得られており、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
得られた研究成果について、研究計画に沿って、より発展させ、研究を進める計画である。
|