研究課題/領域番号 |
23K08708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
佐藤 慎哉 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん分子病態学部・形態情報解析室, 医長・室長 (30464564)
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研究分担者 |
比留間 徹 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長 (20254188)
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長代理 (30571434)
鷲見 公太 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 病理診断科, 医長 (30716733)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | adipo-oncology / adipocytes / がん微小環境 / 腫瘍関連脂肪細胞 / アディポカイン / アディポネクチン / 脂肪細胞 / 骨転移 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
癌の骨転移に対する従来の治療は効果が限られており、新たな治療法の開発につながる癌制御機構の解明が急務である。私達は脂肪から分泌されるアディポネクチンが癌細胞の増殖を抑制すること、薬剤により骨髄脂肪細胞からアディポネクチン分泌が促進されることを明らかにした。本研究は、骨髄脂肪細胞由来アディポネクチンの癌制御メカニズム解明と、骨転移治療への応用を目的とする。本研究では①アディポネクチン受容体刺激による癌増殖抑制メカニズム解明②生体内での骨髄脂肪細胞からのアディポネクチン分泌促進③生体内での脂肪アディポネクチン分泌促進による骨転移巣抑制効果の検討、を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、これまでのがん・脂肪相互作用に関する病理組織標本を用いた解析内容をまとめ、論文として報告した(Sato et al, Cancer Sci 2023, PMID36916999)。さらに、アディポカインのがんに対する機能の総説を纏めた(Sato, Cell Commun Signal 2024, PMID38238841)。がん細胞を用いた実験において、乳がん、卵巣がん、前立腺がん細胞のアディポネクチン受容体発現を検討し、受容体発現の違いを確認するとともに、受容体刺激薬に対する細胞増殖制御作用の差異を確認し、今後の解析に用いるがん種を決定した。アディポネクチン受容体刺激薬のがん細胞株に対する移動能・およびアポトーシスへの影響を検討した。アディポネクチンのがん制御機構を詳細に探索するため、レンチウイルスを用いてアディポネクチン受容体過剰発現がん細胞株、およびアディポネクチン受容体発現抑制がん細胞株を作製した。マウス初代培養骨髄脂肪前駆細胞に分化誘導剤を投与したアディポネクチン分泌誘導脂肪細胞と、未治療対照細胞を用いてRNA-Seqを行い、発現遺伝子の差異を検討した。これらの細胞株を用いて、アディポネクチン受容体刺激による細胞増殖に影響があるかを観察した。また、骨転移マウス実験の前段階として、皮下担がんマウスモデルを用いて、アディポネクチン受容体刺激薬の腫瘍増殖制御作用を検討した。マス初代培養骨髄脂肪前駆細胞に分化誘導剤を投与したアディポネクチン分泌誘導脂肪細胞と、未治療対照細胞を用いてRNA-Seqを行い、発現遺伝子の差異を検討した。マウスに対し、分化誘導剤を投与し血液を採取しアディポカイン濃度を測定した。これらの研究成果は、がんに対するアディポカインの新たな機能解明に繋がると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究は、概ね順調に進展した。計画にあったアディポネクチン高分泌脂肪細胞の分化誘導を行い、さらに高分泌脂肪細胞特異的に発現する遺伝子の解析を行った。一方、予定していたATAC-Seqによるエピゲノム解析は、RNA-Seqの解析に時間を要するとともに、現状エピゲノムに基づく明確な遺伝子発現メカニズムの存在を確認出来なかったため、施行していない。一方で、予定していたマウスを用いたマウスに対するアディポネクチン高分泌脂肪分化誘導剤の投与実験を行い、血中アディポネクチン濃度を測定することができた。さらにアディポネクチン受容体発現制御細胞株の作製に予定より早期に成功した。以上の経緯から、研究計画は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、2024年度の研究計画を予定通り遂行する方策である。アディポネクチン高分泌脂肪細胞と、がん細胞との共培養、アディポネクチン受容体刺激薬によるがん細胞で活性化するシグナル伝達経路の網羅的検索、担がんモデルを用いたマウスにおけるアディポネクチン受容体刺激の腫瘍制御作用の検討、および骨転移モデルを用いたアディポネクチン受容体刺激による腫瘍制御作用の検討を行う。動物実験においては、アディポネクチン受容体刺激薬のドーズ設定を綿密に行うことを最優先にする。
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