研究課題/領域番号 |
23K08716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小林 信 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60761947)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 腎がん / Surfaceome解析 / バイオマーカー / がん / サーフェソーム解析 / 治療標的 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの新規診断治療標的の探索には細胞表面分子を網羅的に同定することが有用である。本研究では第一に腎細胞癌オルガノイドの細胞表面タンパク質の網羅的同定を施行し、正常組織で発現せず機能が未解明の分子を同定する。第二に腎がんの診断・治療標的としての有用性を検証し、抽出した分子群の確からしさを示す原理の証明を達成することで、次世代の腎がん個別化治療戦略の開発に役立つ基盤的知見を確立する。
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研究実績の概要 |
細胞表面タンパク質には、1) 受容体型チロシンキナーゼなど増殖や浸潤など腫瘍悪性形質を規定する種々の細胞内シグナルの最上流に位置する分子が多く含まれる、2) 薬剤の細胞膜透過性を考慮する必要がなく抗体療法などの治療標的としやすい、3) 断片が血液や組織間液に放出されることが多く血清中から検出されやすいなど、がんの診断・治療標的候補として有望な分子群が濃縮されている。実際に、がんの治療標的として米国食品医薬品局が承認した分子標的治療薬151種類のうち、90種類 (60%)が細胞表面タンパク質を標的としており、中和抗体や抗体薬物複合体など様々な治療戦略が実用化されている。例えば受容体型チロシンキナーゼのEGFRやHER2はバイオマーカーであると同時にそれ自身が治療標的でもあり、これらに対する抗体療法は実際に肺腺癌や乳がんの予後を劇的に改善した。一方で腎がんでも数種類のマルチチロシンキナーゼ阻害剤やmTOR阻害剤が使用されているが、これらの余命延長効果は限定的で、バイオマーカーと治療標的が一体となった新規標的分子が望まれている。 細胞表面に分布するタンパク質を網羅的に同定する研究手法はサーフェソーム解析(Surface + ome)と呼ばれ、前述した理由から近年盛んに行われるようになった。申請者は卵巣がんを対象としてサーフェソーム解析を実施し、実際に新規予後予測マーカー分子を同定することに成功した (投稿準備中)。本研究では、同様の方法を用いて腎がんの新規診断・治療標的になり得る表面タンパク質の探索を施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
淡明細胞型腎癌細胞株の3株 (ACHN, Caki-1, 786-O)を用いたサーフェソーム解析を施工し、約9,700個のタンパク質を同定した。The Cancer Genome Atlas、The Genotype-Tissue Expression databaseなどを用いた融合解析を行い、細胞表面に濃縮して発現する一方で正常組織に無発現、あるいは低発現の分子を約90個に絞り込んだ。これらの分子を対象にIngenuity pathway analysisを施行したところ、腎癌関連シグネチャー分子が有意に抽出されていることがわかった。 この中から細胞膜貫通ドメインを持ち細胞表面における発現の蓋然性が高い分子2個に着目した。これら分子については免疫蛍光染色・フローサイトメトリーから細胞表面発現を確認した。さらにこれら分子を過剰発現した淡明細胞型腎癌細胞株は浸潤、転移能が亢進することが明らかになった。しかしこれら分子に対する特異性の高い抗体が市販されていないため、現在ラットリンパ節法によりモノクローナル抗体を作製中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に見出した標的分子2個に着目して研究を進める予定である。免疫不全マウスを用いた担がん実験、RNAシークエンス解析、リン酸化プロテオミクス解析などを行い、候補分子による腎がん悪性形質制御機構の全容を解明を目指す。また現在作製中のモノクローナル抗体を用いて腎がん手術検体を用いた免疫染色を施行し、候補分子の腎がんにおける臨床病理学的意義を明らかにする。
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