研究課題/領域番号 |
23K08728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
デベラスコ マルコ 近畿大学, 医学部, 講師 (20449838)
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研究分担者 |
藤田 和利 近畿大学, 医学部, 准教授 (50636181)
植村 天受 近畿大学, 医学部, 教授 (90213397)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 腫瘍微小免疫環境 / 遺伝子改変マウスモデル / AR阻害 / PI3K/AKT経路 / AKT阻害 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫抑制的な腫瘍微小環境の形成は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に対する耐性に関与しているが、進行性前立腺癌でよく認められるPTEN欠損癌はPI3K/AKTシグナル活性化と前立腺癌の主要なアンドロゲン受容体(AR)標的治療が、相互に抗腫瘍免疫の賦活化が困難な腫瘍微小環境を形成している。そこで本研究では、われわれが開発したPTEN欠損前立腺癌のトランスジェニックマウスモデルを用いて、AKTおよびAR阻害と免疫チェックポイント阻害の複合治療の可能性について腫瘍微小免疫環境の変化に関する詳細な解析を行う。
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研究実績の概要 |
私たちが独自に開発しpreclinicalかつ免疫学的評価を可能とする去勢感受性および去勢抵抗性前立腺癌マウスモデルを用いて、PTEN欠損前立腺癌におけるアンドロゲン受容体(AR)およびPI3K/AKT経路の阻害が抗腫瘍効果、腫瘍の免疫微小環境にどの様な役割を果たしているのか、加えて抗PD-L1抗体に対する反応や骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)について基礎的検討を行った。AR阻害薬として第2世代のアビラテロン、AKT阻害薬としてCapivasarutibを用いて、それぞれの単独および併用療法の効果を調べた。 研究結果として、癌抑制遺伝子であるPTENの欠損により増殖シグナルpathwayのPI3K/AKTシグナル伝達が恒常的に活性化されている前立腺癌では、アビラテロンにcapivasertibを加えることで、治療効果が有意に強化された。アビラテロン単剤治療はPI3K/AKT経路が亢進するが、capivasertibを加えるとPI3K/AKT経路の亢進を抑えつつ、免疫抑制細胞の腫瘍への浸潤を抑制しM1マクロファージの増加やCD8+T細胞の活性により腫瘍縮小効果が認められた。MDSCが多く免疫抑制的な腫瘍微小環境では免疫チェックポイント阻害治療はJAK1/2阻害薬と併用することで抗腫瘍効果が得られた。 前立腺癌マウスモデルを用いた他の研究成果として、①Apalutamide治療の免疫と分子の反応について、②前立腺癌と腸内細菌について、③細胞外アデノシンの阻害とApalutamide併用療法について、2023年の日本癌学会(JCA)で報告した。(演題番号:P-2220、E-2042、E-1060、E-1039)また、2024年4月開催の米国癌学会(AACR)ではこれらのupdate結果がAcceptされ報告している。(学会発表欄参照。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要目的「私たちが開発した前立腺癌マウスモデルを用いて、ARとPI3K/AKT経路阻害における腫瘍の免疫環境と抗腫瘍効果の検証を網羅的に解析する」に対して、多くの基礎研究を遂行し前立腺癌の腫瘍免疫環境の特徴を明らかにしてきた。がん基礎研究でmicrobiomeの重要性は高まっており研究を追加した。免疫抑制細胞のトレンドも変化してきており、新たなターゲットを加えて研究内容を修飾しながら検討する必要もあるが、成果の一部は世界に発信できており、今後の成果も期待できると確信している。
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今後の研究の推進方策 |
前述の「現在までの進捗状況」にも記載したように、最近の状況と照らし合わせながら研究内容を調整しつつ、着実に結果は出てきている。 今後の研究推進では腫瘍微小環境をより網羅的に解析する為に、機械学習を取り入れ治療反応と免疫細胞の応答を評価する。 以上から、アメリカ癌学会や日本癌学会で成果報告をし、現在の研究体制を維持しupgradeした結果を輩出したいと考える。
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