研究課題/領域番号 |
23K08767
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
橋谷 光 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10315905)
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研究分担者 |
三井 烈 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90434092)
中森 裕之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60824349)
梶岡 俊一 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (90274472)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 尿道細動脈 / 交感神経 / 副交感神経 / PTHrP / BKチャネル / 外尿道括約筋 / 毛細血管希薄化 / 加齢性変化 / 下部尿路症状 / 微小収縮 / 求心性神経 / 微小血管 / 平滑筋 |
研究開始時の研究の概要 |
下部尿路症状(LUTS)は加齢やメタボリック症候群(MetS)と相関し、尿意切迫感や尿失禁を伴う過活動膀胱(OAB)はフレイルや認知症の素因となる。OABでは、蓄尿期における自発収縮増強が機械的刺激となり求心性神経活動亢進を来す。膀胱および尿道壁の平滑筋、粘膜平滑筋および微小血管の自発収縮による求心性神経刺激に着目し、「微小収縮-感覚環境」の生理的意義と病態への関与を探究する。また神経や尿路上皮などから放出される液性因子による自発収縮の修飾を明らかにする。加齢およびMetSモデル動物での「微小収縮-感覚環境」の変化と運動介入による改善を検討してLUTSの新たな病態概念を構築する。
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研究実績の概要 |
雌マウス尿道細動脈において、副交感神経由来の一酸化窒素(NO)が交感神経からのノルアドレナリン放出を抑制する結果、 ATPが主要な交感神経性伝達物質として作用することを示した。神経性NOは、感覚神経由来のCGRPとともに細動脈平滑筋を直接弛緩させ、一方副交感神経由来のアセチルコリンは内皮細胞のカルシウム濃度上昇を介しておそらく過分極伝播により平滑筋弛緩を生じることを明らかにした。これら尿道細動脈の神経性収縮制御特性は、加齢やメタボリック症候群など交感神経過活動を伴う病態においても交感神経性の細動脈収縮を抑制し、膀胱に比べて尿道の血流低下が生じにくい機構の一端を担うと考えられた。 排尿筋平滑筋から放出される内在性弛緩物質である副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)は、脱分極域の電位において大コンダクタンスカルシウム活性化カリウム(BK)チャネルの開口による自発一過性外向き電流(STOCs)の頻度を増加させたが、静止膜電位付近の電位ではBK-STOCsに対して影響を及ぼさなかった。こうした膜電位依存性のBK-STOCs促進作用により、PTHrPは群発活動電位を早期終了させることで自発収縮を抑制し、排尿筋自発収縮に起因する求心性神経活動を抑制して蓄尿を促進することが示唆された。 加齢マウスの横紋筋性の外尿道括約筋(EUS)では、毛細血管密度の低下とPDGFRα陽性の線維芽細胞の増加すなわち線維化を認めた。また神経筋接合部の減少傾向と横紋筋のニコチン型アセチルコリン受容体の変形を認めたが、速筋型主体のEUSの筋線維の分布には変化を認めなかったことから、全身の骨格筋サルコペニアにおいても認められる毛細血管の希薄化が、最も早期に起こる尿道EUSの加齢性変化であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
尿道細動脈の神経性支配、外尿道括約筋における加齢性変化については、研究計画立案時の仮説に沿った結果を得ることができた。また内在性の排尿筋弛緩物質であるPTHrPの作用機序として、膜電位依存性の自発BKチャネル開口促進作用を明らかにし、排尿収縮を抑制することなく自発収縮関連の求心性神経活動を抑制する機序の一端を示すことができた。さらにブタ尿道粘膜の平滑筋成分に起因する自発収縮が、β受容体刺激薬およびNO遊離薬により抑制され、ムスカリン受容体刺激薬により増強することも明らかにした。 一方、高脂肪食によるメタボリック症候群モデルマウスを作成して膀胱内圧変化、求心性神経活動記録、排尿筋および膀胱粘膜細動脈収縮性の変化を調べたが、高脂肪食群における個体差が大きく、対照の通常食群と比べていずれの要素においても有意な変化を認めなかった。 微小収縮-感覚(求心性神経)連関のうち、粘膜平滑筋と微小血管の役割については理解進めることができたが、メタボリック症候群における排尿筋由来の変化を示すことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食によるメタボリック症候群モデルマウスについては、肥満の人が全て膀胱機能障害を示すわけではないので、対照群に比べて有意な変化が示されなかったことは、むしろ現実に合致した結果であったとも言える。では膀胱機能障害を示す個体と示さない個体の違いは何かという疑問に取り組むため、体重変化に加えて血糖値とインスリン値の測定を追加して、改めて高脂肪食メタボリック症候群モデルマウスを作成して研究を行う。また高脂肪食を摂取して体重が増加しても、ケージ内で十分な運動(筋肉活動)を得ることで血糖値上昇やインスリン抵抗性が抑えられている可能性もあるので、運動制限がかかる狭いケージでの飼育群を設定し、並行して研究を進める。当初はメタボリック症候群モデルマウスに対する積極的な運動介入の効果を検討する予定であったが、方針を転換して運動制限と高脂肪食の相乗効果を検討する。
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