研究課題/領域番号 |
23K08805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
橋本 周 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (30570949)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 卵母細胞 / 胚盤胞 / ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド / ニコチンアミドモノヌクレオチド / NAD+ / NMN / 減数分裂 / 染色体 / 受精卵 |
研究開始時の研究の概要 |
卵母細胞ならびに受精卵はしばしば染色体分配エラーを起こす。また、体外で培養することで細胞内ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD+)量が減少する。その結果、細胞内でのエネルギー代謝とレドックス制御の不均衡が生じる。本研究では、細胞内NAD+を補充することにより、哺乳類卵母細胞ならびに受精卵の紡錘体構造の正常化とミトコンドリア機能の改善を行い、染色体分配エラーの低減と受精卵の発育能力の改善を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞内のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)量の減少は、細胞内のエネルギー代謝とレドックス制御の不均衡を引き起こす。NAD+とその代謝物は、生理学的プロセスを維持するための重要な調節因子として機能し、栄養障害、遺伝毒性因子、循環リズムの乱れ、感染症、炎症、外部物質などの環境変化に細胞が適応できるようにしている。 屠体から回収したウシの未成熟卵母細胞を用いて、NAD+前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を0-100 μM添加した培養液で体外成熟培養を行い、卵母細胞内のNAD+濃度と体外受精後の胚盤胞の発育能を調べた。その結果、NMN(100 μM)を卵母細胞成熟培養液に添加することで、胚盤胞形成率が上昇することが示された。 細胞内のNAD+濃度上昇が卵母細胞内のmRNA量に及ぼす影響をRNA-seqにより解析した。その結果、NMNを添加して培養することで、発現量が2倍以上増加した遺伝子は112個、半分未満に減少した遺伝子は280個であり、卵母細胞内の遺伝子発現パターンが劇的に変化していることが示された(図4a)。また、卵丘細胞でも、発現量が2倍以上増加した遺伝子は246個、半分未満に減少した遺伝子は295個でした。次に、ミトコンドリアに焦点を当てて遺伝子発現変化をMITOCARTAを使用して解析した。その結果、卵母細胞では、ミトコンドリア関連の1370遺伝子のうち85遺伝子の発現が変動していることが分かり、細胞内のNAD+濃度の上昇により、ミトコンドリア機能が大きく変化する可能性が示された。 卵母細胞のATP濃度と活性酸素量を測定した結果、NMNを添加して培養することで、細胞内のATP濃度が上昇し、活性酸素量が低下することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているので、遅延の理由はない
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今後の研究の推進方策 |
卵母細胞内の活性酸素が低下した機構を理解するために、NADPHを測定する 減数第二分裂中期紡錘体構造を調べる予定である
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