研究課題/領域番号 |
23K08809
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 新渡戸文化短期大学 |
研究代表者 |
赤羽 智子 新渡戸文化短期大学, その他部局等, 准教授 (40398699)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 卵巣癌 / 次世代シーケンサー |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌は卵巣が腹腔内臓器であるという特性から早期発見が困難で他の婦人科腫瘍と比較し予後が悪い。一方、FIGO分類Ⅰ期の早期段階で検出された症例の5年生存率は90%を超えることから早期検出の重要さは言うまでもない。卵巣癌に限らず深部臓器由来の癌の早期検出は癌死亡者数全体の減少へとつながる可能性がある。そこで本研究は卵巣癌を前癌病変の段階にて検出すべく、発癌起源としての可能性が指摘されている細胞由来の微量DNAを次世代シーケンサー解析して遺伝子変異を検出し関連性の解明を行うとともに、解析手法と結果を応用し卵巣癌早期検出に有用な検査法を被験者負担の少ない手法で確立し実装化することが研究の概要である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は卵巣癌のなかで最も発生頻度の高い高異型度漿液性癌の発癌起源細胞を特定し、癌発症の初期段階の特定細胞を同定することで、卵巣癌早期検出のための手法を確立することである。卵巣癌は卵巣が腹腔内臓器であるという特性から、確立された検診手法が無いうえ、がん検診対象臓器ではないため、早期検出が難しいという状況から、初診時進行例が多く、婦人科腫瘍のなかで最も予後が悪いうえ、生殖細胞変異の有無によっては若年症例も多い。そのため、卵巣癌の早期に検出は、患者のQOLにとって最大のメリットと考える。近年の研究において、卵巣高異型度漿液性癌は卵巣本体の上皮細胞ではなく、卵管上皮に発生した初期の腺癌病変が、卵巣表面に移行したのち、増殖することで卵巣で発癌したように見える病巣が構築される機序が定説となりつつある。そこで、本研究では卵管上皮に出現する初期のがん細胞の同定と早期検出を目指すことで、卵巣癌早期検出を行うことを目的としている。これまでの研究において、卵巣癌の癌起源細胞として最も有力視されている卵管上皮の微量なP53蛋白過剰発現卵管上皮細胞であるいわゆるp53signature由来細胞の特性を検出する目的で遺伝子解析を実施している。当該細胞は微量であるため、微量核酸から次世代シーケンサー解析用Libraryを作成する方法を確立し、次世代シーケンサーにて高異型度漿液性癌と共通する遺伝子変異を検出することで、発癌母地の関連を解析した。症例対象は婦人科疾患のうち卵巣嚢腫や子宮筋腫例など卵巣癌と関連の低い例と、卵巣癌発癌リスクが高いとされるBRCA1/2 遺伝子の生殖細胞系列病的バリアントを保持する症例とを比較した。本年度は出力されたFastQファイルの解析とアノテーションを行った結果、癌発症に関連する可能性の高い遺伝子変化の特定を完了したため、現在は本データーの論文作成を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は主たる勤務先の所属施設を移動したため、研究設備の充実や実施体制の構築が主体となり、データー解析以外の部分の進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
移動先の研究環境は研究設備や備品の面で非常に不足しており、冷蔵庫や冷凍庫をはじめとした解析に使用する検体や試薬保存の場所の確保も難しいことから、今後遺伝子解析を主体とした検体解析の実施は難しいと考えられる。本研究を遂行するためには設備の整った他大学に共同研究員の登録をし、連携して研究を実施することが最も良いと考えられるため、現在研究費等も含め移管先を探している。
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