研究課題/領域番号 |
23K08822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 綾子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 技術補佐員 (40910253)
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研究分担者 |
澤田 健二郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00452392)
小玉 美智子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70791391)
木瀬 康人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90778531)
中村 幸司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00900151)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 卵巣がん / 環状RNA / 高異型度漿液性癌 / circERSP2 / CDK1 / バイオマーカー / 卵巣癌 / 高異型度漿液性腺癌 / PDXマウス / リキッドバイオプシー |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌の予後の改善を目指して、血漿中に僅かではあるが、安定して存在する環状RNAの意義、治療標的として、あるいはバイオマーカーとしての可能性を検証する。具体的には卵巣癌の組織型の中でも最多の約40%を占める高異型度漿液性卵巣癌(HGSOC)と対側の正常卵巣よりRNAを抽出し、circular RNA microarrayを行い、HGSOC特異的に発現が亢進している環状RNAを同定し、その腹膜播種進展に果たす役割の解明を目指し、早期発見につながる新たなリキッドバイオプシー法を確立するとともに、新たな分子標的治療の可能性を提示する。
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研究実績の概要 |
卵巣高異型度漿液性癌(HGSOC)の解析を行った。具体的には、2 症例のHGSOC癌患者の癌組織と対側の正常卵巣よりRNAを抽出し、circRNA microarrayを行い、2 症例ともに特異的に高発現している circESRP1 に着目した。In vitro の実験系において HGSOC細胞株であるOVCAR3細胞、CaOV3細胞に circSOD2 の siRNA を transfection し、細胞のアポトーシスが誘導され増殖能が低下することを示した。circRNAの miRNA sponge 機能に着目し、In silico 解析で circSOD2 と結合する miRNA として miR-182-5p を検討し、その結合を RNA pull-down assayで確認した。Proteomics 解析で、circSOD2をノックダウンすると発現が有意に低下するタンパク質の同定を行い、その中で細胞周期に関連する CDK1 に着目し、それらの発現が circESRP1 により制御されていることをwestern blot で確認した。以上、HGSOC の発がんにおける circESRP1 の役割を解明し、治療標的となる可能性を提示した。一連の研究成果は2024年の第76回日本産科婦人科学会で口演発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は高異型度漿液性腺癌2症例で環状RNAのマイクロアレイを行い、特異的に発現が上昇する環状RNAである。circ ESRP1を同定することができた。また、その役割の同定、解析を行い、circ ESRP1がmiR-182-5pをスポンジすることにより、細胞周期関連たんぱくCDK1の発現を制御することが判明した。また、circ ESRP1 siRNA を導入したレンチウィルスベクターを作成するなど、動物実験に向けた準備も進んでいる。以上より、おおむね計画どおりに研究が遂行しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はこれまでの研究で同定した環状 RNAの抑制の腹膜播種治療の可能性を siRNA を用いたIn vivo実験で検討する。circESRP1 siRNA を組み込んだレンチウィルスベクターをすでに作成しており、OVCAR3 細胞にTransductionし、免疫不全マウスに腹腔内投与を行い、播種モデルマウスを作成し、コントロールベクターを導入した細胞と腫瘍形成能、播種数を比較し、circESRP1のHGSOCにおける癌進展における役割を検討する。有効な結果が得られれば、免疫不全マウスに患者由来の腫瘍組織の一部を移植することにより腫瘍の Heterogenicity を忠実に再現する Patient-derived xenograft (PDX) model を用いる。卵巣癌組織片を小切開し、マウス ovarian bursa に移植する同所移植 PDX マウスモデルの作成はすでに開始しており、これまでに3例ですでに作成に成功している。同所移植 PDX モデルはヒトの癌そのものの組織型・ゲノム異常・タンパク発現などを忠実に保ち、マウスモデルにおける抗腫瘍効果は、ヒトへの臨床効果と強く相関する。作成した PDX マウスモデルに対して、先行論文に準じて、0.20 μgの circRNA siRNA-engineered exosomes を48時間ごとに3週間、腹腔内投与し、その治療効果をマウスの腹水量、腫瘍重量、播種の個数で検討する。
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