研究課題/領域番号 |
23K08823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長尾 昌二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70335602)
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研究分担者 |
白河 伸介 岡山大学, 大学病院, 医員 (60973568)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2027年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脆弱性骨折予防効果 / 子宮頸癌 / 放射線療法 / 運動療法 / 選択的エストロゲン受容体モジュレーター / ビタミンD製剤 / 高齢者 / 放射線治療 / 脆弱性骨盤骨折 / 選択的エストロゲンモジュレーター |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、子宮頸がんの高齢サバイバーにおける放射線治療後の脆弱性骨盤骨折を予防するために作成した「放射線照射に起因する脆弱性骨盤骨折予防プログラム」の有効性を、放射線治療終了後2年間の新規脆弱性骨盤骨折の発生割合を主要評価項目としてプログラム導入前の後ろ向きコホートと導入後の前向きコホートの間で比較検討する多施設共同研究である。本プログラムでは、骨粗鬆症を有する高齢患者には選択的エストロゲンモジュレーターおよび活性型ビタミンD3製剤を用いた薬物療法および運動療法(1日30分程度の有酸素運動および下肢筋力増強運動)を、有さない高齢患者には運動療法のみによる介入を2年間行う。
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研究実績の概要 |
2023年度中に報告予定であった後ろ向き研究部分(historical control)の結果については2023年5月の第75回日本産科婦人科学会学術集会(東京都開催)、7月の第65回日本婦人科腫瘍学会学術集会(松江市開催)、8月の第47回日本女性栄養・代謝学会学術集会(岡山市開催)で報告した。調査した4施設における子宮頸がんに対する放射線治療後の脆弱性骨折を59/208例(28.3%)に認め、その約80%が照射終了後2年以内に発生していた。特に閉経後患者では37.9%(未閉経患者では6.3%)と極めて高率に骨折が発生していた。また、想定していた以上の施設間差が存在することが明らかとなった(施設ごとの閉経後患者の骨折率は25.9%、27.8%、45.0%、65.2%)。この結果を受けて、前向き研究の必要症例数を再計算する必要があること、今後の研究データを取り扱いにおいて「施設」を層別化因子に加える必要があることが判明した。後ろ向き研究の結果について、現在論文投稿中である。 一方、前向き研究部分は、後ろ向き研究の骨折率をもとに必要症例数の再計算を行い、68例に修正した。後ろ向き研究に参加した4施設にさらに2施設が加わり、現在合計6施設で症例登録を進めている。また、介入(運動療法、SERM内服、ビタミンD製剤内服)のコンプライアンスは問題なく維持できている。2024年9月までの症例登録期間を設定しているが、2024年3月31日時点で44/68例(65%の達成率)の登録が完了している。ほぼ予定通りの登録ペースが維持されており、引き続き各施設からの症例登録を喚起し、登録ペースを維持していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒストリカルコントロールとして使用する後ろ向き研究部分のデータの集積、解析は完了した。前向き研究部分の症例集積は、ほぼ予定通りに進んでいる。 その中でいくつかの問題点も明らかになっている。症例登録、介入開始のタイミングを放射線治療終了後に設定しているが、放射線照射中に骨折をきたした患者がおり(把握できただけで6例)、照射中からの介入が必要な可能性がある。本研究で現在までに得られているデータから、その要因として閉経後女性のほぼ全例が放射線治療開始時にすでに骨粗鬆症を発症していること、放射線治療中に急激な骨量低下が起きていることなどがその原因として可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところほぼ予定通りの期間で研究を完遂できる見込みである。引き続き参加施設に症例登録をメール、ミーティングを通して喚起していく予定である。介入前に脆弱性骨折が発生していることについては引き続き注視していく予定である。
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