研究課題/領域番号 |
23K08827
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
八幡 環 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90647562)
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研究分担者 |
岩橋 尚幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (50750907)
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 卵巣癌 / AAV-CRISPR/Cas9 / PD-L1 / IDO |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣癌の長期予後は不良であり、新規標的治療の確立が必要である。近年、種々の癌において、immune checkpointsを標的とした治療が行われているが、奏効率は十分に高いとは言えず、抗体療法に代わる新規阻害方法の開発が急務である。本研究では、Programmed cell death ligand 1 (PD-L1)遺伝子やIndoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)遺伝子を同時に標的とするAAV-CRISPR/Cas9の複合免疫療法が、抗体療法を凌駕する治療となり得るかを検証し、その有用性と安全性について検証し、卵巣癌の新規治療戦略の基盤となるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
卵巣癌の長期予後は不良であり、予後改善のためには新規標的治療の確立が必要である。近年、種々の癌において、immune checkpointsを標的とした治療が行われているが、奏効率は十分に高いとは言えず、抗体療法に代わる新規阻害方法の開発が急務である。申請者らは継続して卵巣癌の増殖進展に関与しているProgrammed cell death ligand 1 (PD-L1)やIndoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)の研究を行っており、最近ではAdeno associated virus-Clustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR associated protein 9 (AAV-CRISPR/Cas9)を用いて、卵巣癌に発現するPD-L1を直接欠損させる遺伝子免疫療法を開発し、成果を報告した。本研究では、抗体療法を凌駕する治療となり得るかを検証し、また、PD-L1やIDO遺伝子を同時に標的とするAAV-CRISPR/Cas9の複合免疫療法が、さらに奏効率を向上させるか、その有用性と安全性についても検証し、卵巣癌の新規治療戦略の基盤となるかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、AAV-CRISPR/Cas9を用いた卵巣癌のPD-L1を標的とするPD-L1-AAV粒子を作成し、in vitroにて、PD-L1-AAV粒子が濃度依存的に卵巣癌細胞のPD-L1発現を欠損させること、Control-AAV粒子で治療した群と比べて、PD-L1-AAV粒子で治療した群において、有意に生存期間が延長することが確認できている。初年度は、腫瘍内の腫瘍浸潤リンパ球 (CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、T-reg細胞)数を比較し、Control-AAV粒子で治療した群と比べて、PD-L1-AAV粒子で治療した群において、CD4+ T細胞数、CD8+ T細胞数が有意に増加し、T-reg細胞数が有意に減少することが示された。またPD-L1粒子治療における有害事象の検証では、正常臓器 (肺、肝臓、脾臓、腎臓)への明らかな影響は示されなかったことを確認した。よって、現状においては概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腫瘍組織からmRNAを抽出後、real time RT-PCRを行い、腫瘍内のサイトカイン・ケモカイン・血管新生因子等の発現量を比較検討し、加えて腹水中の同分子をELISAで測定し、比較検討する予定である。また化学療法を併用した際の効果についても同様に比較検討する予定である。さらに、ID8、HM-1の異なる細胞株を移植された担癌マウスにおいて、治療前のPD-L1発現度、PD-1陽性腫瘍浸潤リンパ球数、T cell immunoglobulin and mucin-domain containing-3陽性細胞数、腫瘍関連マクロファージ数、種々のケモカイン発現量等を評価し、各々の担癌マウスでAAV-PD-L1粒子で治療を行った際の奏効差から、上記との関連を比較評価し、奏効の基準となる新規バイオマーカーを探索する予定である。
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