研究課題/領域番号 |
23K08833
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
杉原 一廣 藤田医科大学, 医学部, 客員教授 (00265878)
|
研究分担者 |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
柴田 清住 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90335026)
内海 史 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10749261)
小川 千紗 藤田医科大学, 医学部, 助教 (60788769)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 診断薬と診断法の研究・開発 / 新規診断法 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、悪性腫瘍の早期発見の試みとして、がん細胞から放出される細胞外小胞(エクソソーム)が、がんの悪性化や転移に深く関わっていることが明らかとなり、がん細胞由来エクソソームを追跡することで、がんの早期発見を実現しようとする試みが、新たながん検出法として注目されている。 本研究では、我々が同定した子宮内膜症細胞に特異的に強発現する分子:CNGB3(Sugihara K. et al. Nature Commun. 5(448) 1-9.)と子宮内膜症細胞から放出されるエクソソーに焦点を当て、子宮内膜症の診断確立の潜在的可能性に着目し、先駆的研究を進め、非侵襲的診断薬と方法の開発が本研究の概要である。
|
研究実績の概要 |
研究代表者は、薬剤の治療貢献度や既存医療治療に対する満足度の低い領域、いわゆるアンメッド・メディカル・ニーズと言われる疾患に対して、First-in-Classの薬剤の開発を目標として、ペプチド創薬を進めてきた(日本学術振興会、AMED 創薬支援2014-2017.等公的なのご支援による)。 具体的には、疾患の細胞表面に特異的に発現するタンパク質を標的とするペプチドを同定し、標的細胞の細胞膜を超えて薬剤が取り込まれる(インターナリゼーション)ことにより、標的細胞内で薬効を発揮する薬剤の開発を目指して研究を継続している(Sugihara K. et al. Nature Commun. 2014, Proc Natl Acad Sci USA.2007, 2009, 2011.)。この研究過程で、ペプチドファージディスプレイを用いて、我々が同定した子宮内膜症細胞に特異的に強発現する分子:CNGB3(Sugihara K. et al. Nature Commun. 5(448) 1-9. 特許:US Provisional No.61833519指定国移行中)と子宮内膜症細胞から放出される直径50-150nmの顆粒状の物質であるエクソソーム(Exosome)に焦点を当て、子宮内膜症の新規診断を実現し、社会に貢献することを目標とする独創的・先駆的な研究計画を作製して血清診断薬と診断法の研究・開発を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、先ずは、本研究の前提として採用している方法の検証を実施した。藤田医科大学倫理委員会の承認を得て採取した血清からエクソソームをアフィニティー法で取得(MagCapture(TM) Exosome Isolation Kit使用)し、子宮内膜症患者さんの血清と健常者の血清を評価した。この方法は、エクソソームの膜表面に存在するホスファチジルセリン(PS)にカルシウム依存的に結合する物質を応用しているため、キレート剤によりインタクトな状態でエクソゾームを溶出できることが確認できた。 また、従来の超遠心分離法を用いて、血清よりエクソソームを抽出た。その結果、血清からエクソソームをアフィニティー法で取得(MagCapture(TM) Exosome Isolation Kit使用)を用いてエクソゾームを溶出する方が、遠心分離法より高効率であることを確認した。 さらに、CNGB3に対しKd値が極めて高いz13 pepteide (VRRADNRPG)を用いてWestern Blotで、血清からエクソソームを検出することが可能であることも確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
子宮内膜症は、月経痛、下腹部痛、腰痛、排便痛、性交痛が主な症状で、不妊症の原因疾患でもあり、就労人口減少と少子化に直結した重要疾患である。子宮内膜症に伴う痛みは、QOLの著しい低下と勤労に影響し、社会経済的損失は約6,828億円/年(国内のみ:Tanaka E et. al. J Med Econ. 16:1255-1266. 2013.)と推計されている。しかし、治療は緩和治療やホルモン治療が主体であり、アンメット・メディカル・ニーズが高い疾患と言える。そこで、早期診断や治療効果の正確な判定が可能な診断法が必要である。現在、診断には、問診・内診・直腸診・画像診断(経膣超音波検査、MRI、CT)、血液検査は特定の腫瘍マーカー(CA-125)が汎用されているが、補助診断であり、確定診断は、全身麻酔下に腹腔鏡検査が施行される。しかしながら、検査のみのために鏡視下などの手術が行われることはほとんどなく、通常、手術は、治療を兼ねて行われる。そこで、非侵襲的で精度の高い子宮内膜症の診断方法の開発が切望されている。 最近、悪性腫瘍の早期発見の試みとして、がん細胞から放出される細胞外小胞(エクソソーム:Exosome)が、がんの悪性化や転移に深く関わっていることが明らかとなり、このがん細胞由来エクソソームを追跡することで、がんの早期発見を実現しようとする試みが、新たながん検出法として注目されている。 本研究では、我々が同定した子宮内膜症細胞に特異的に強発現する分子:CNGB3(Sugihara K. et al. Nature Commun. 5(448) 1-9. 特許:US Provisional No.61833519指定国移行中)と子宮内膜症細胞から放出されるエクソソームに焦点を当て、子宮内膜症の診断確立の潜在的可能性に着目し、研究を進め、非侵襲的診断薬と方法の開発を推進する。
|