研究課題/領域番号 |
23K08864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
新美 薫 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (20571334)
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研究分担者 |
奥野 友介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00725533)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 絨毛癌 / 次世代シーケンサー / 抗がん剤耐性 / PDXモデル / ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
絨毛性腫瘍は、半分が非自己で存在する「妊娠」が原因で発生する希少疾患である。一般的ながんの免疫環境やゲノムプロファイルとは異なるため、本腫瘍に特化した研究や治療が必要である。本研究では、絨毛性腫瘍と前がん状態ともいえる侵入奇胎、胞状奇胎における網羅的ゲノム解析を行い、悪性化に関与する因子を同定する。また、抗癌剤耐性絨毛癌や高hCG分泌例におけるトランスクリプトーム解析を行い、新規の免疫治療標的、悪性化機構を特定し、治療標的を見極める。さらに絨毛癌のPDXモデルを用いて新規治療薬の抗腫瘍効果を検証することで、臨床への応用を進める。
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研究実績の概要 |
①次世代シーケンサーを用いた絨毛癌組織(妊娠性絨毛癌8例、非妊娠性絨毛癌6例)の全ゲノム解析を施行した。この結果から、遺伝子変異の同定を試みた。それぞれ1例ずつ、飛び抜けて多い変異数を持つ例があったが、概ね遺伝子変異総数は少ないことがわかった。 ②胞状奇胎のうち自然寛解例7例と侵入奇胎続発例6例の新鮮凍結組織から採取したRNAを用いてmRNAシーケンスを行った。発現変動遺伝子の抽出とIPAソフトウェアで解析を行った。hCG高値とhCG低値でも差があるため、まずはhCGでhighとlowに分けてから、自然寛解群と侵入奇胎続発群で比較することとした。hCGlow群8例とhCGhigh群5例それぞれで自然寛解群と侵入奇胎続発群を比較し、共通して発現が低下していた遺伝子は71個、共通して発現が上昇していた遺伝子は210個あった。 ③MTX耐性絨毛癌細胞株(Jar)の作成を行った。Jar野生株とJarMTX耐性株から採取したRNAを用いてmRNAシーケンスを行った。MTX耐性株では野生株と比較してDHFR高発現となっていた。siRNAを用いてDHFR発現抑制を行ったが、MTX耐性は完全には解除されなかったため、DHFR以外の分子もMTX耐性に関わっていることが予測された。 ④妊娠性絨毛癌の手術検体があったため、患者由来移植モデルマウスの作成を行った。免疫不全マウスに生着し、3代目まで継代中できている。また、胎盤部トロホブラスト腫瘍であるPSTTの手術検体から、現在免疫不全マウスに患者組織を移植したばかりである。今後生着していくかを確認していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠性絨毛癌の肺摘出症例から組織を得ることができたため、妊娠性絨毛癌のPDXモデルを作成が進行している。さらにPSTTの組織も得ることができ、PDXモデルが成功すれば、世界で初めての妊娠性絨毛癌、PSTTのPDXモデルの樹立となる。また、絨毛癌細胞株を用いて次世代シーケンサーにて全エクソーム解析を行うことができた。解析が難しいが、データは収集できてきているため、引き続き解析を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠性絨毛癌のDNA抽出および全エクソーム解析をさらに進め、共通の遺伝子変異やコピー数変化を確認する予定。プロテオミクス解析、RNAシーケンス解析、miRNAシーケンス解析をあわせて行っていく予定。
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