研究課題/領域番号 |
23K08881
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
林 琢磨 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究室長 (60359726)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 子宮平滑筋肉腫 / 子宮平滑筋腫 / ATRX / TP53 / CDK4 / MED12 / 子宮間葉性腫瘍 / RB |
研究開始時の研究の概要 |
現在、申請者らが遂行している臨床研究(究PRUM-IBio study 研究代表者 林 琢磨)で登録(336例)された子宮平滑筋肉腫、子宮平滑筋腫、種々の子宮平滑筋腫瘍合計50症例を用いて、次世代シークエンサーにて病的バリアントを再度検証している。本申請の科研費基盤Cでは、ヒト子宮平滑筋腫瘍培養細胞が移植された免疫欠損マウスのジェノグラフトモデルとLmp2/β1i欠損マウス(子宮平滑筋肉腫自然発症モデルマウス)を用いて、G1/S期を制御する因子を標的する化合物(アベマシクリブなどとその修飾化合物など)、クロマチンリモデリングを標的とするタゼメトスタットと抗VEGF抗体♯の抗腫瘍効果を検討する。
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研究実績の概要 |
子宮平滑筋肉腫の5年生存率は20%未満の難治性悪性腫瘍である。NCCNガイドライン2020年版では、第Ⅲ相試験で、子宮平滑筋肉腫に対する術後治療としての放射線照射や化学療法の有効性は、明確なエビデンスとして示されていない。現在、申請者らが遂行している臨床研究(国立病院機構臨床研究PRUM-IBio study/AMED橋渡し事業 研究代表者 林 琢磨)で登録(336例)された子宮平滑筋肉腫、子宮平滑筋腫、種々の子宮平滑筋腫瘍合計50症例を用いて、次世代シークエンサーにて病的バリアントを再度検証している。 本申請の科研費基盤Cでは、ヒト子宮平滑筋腫瘍培養細胞が移植された免疫欠損マウスのジェノグラフトモデルマウスとLmp2/β1i欠損マウス(子宮平滑筋肉腫自然発症マウス)を用いて、細胞周期のG1/S期を制御する因子を標的する化合物[アベマシクリブ、レトロゾール、アナストロゾール(イーライリリー社)又はAMG560(アムジェン社)]、クロマチンリモデリングを標的とする承認抗腫瘍剤であるタゼメトスタットと抗VEGF抗体♯(アドバイザー中外製薬)との併用療法やATRXを標的とする新規薬物の抗腫瘍効果を検討する。本研究の目的は、難治性悪性腫瘍である子宮平滑筋肉腫への新規治療法の開発のための研究開発の基盤を構築することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年8月時点で、提携医療機関(28施設)から、子宮平滑筋肉腫を疑われ外科的治療を受けられた患者336例が、臨床試験PRUM-IBio study/AMED橋渡し事業に登録(代表林 琢磨)された。子宮平滑筋肉腫に対する診断法と治療法を確立させるために、現在、336例で、分子病理学的解析が行われている。さらに、申請者は、登録された336症例から65例の薄切組織から抽出されたゲノムDNA/RNAを用いて次世代シークエンサー(NGS)により、子宮筋腫と子宮平滑筋肉腫の病的バリアントの検出を行っている。研究成果より、子宮平滑筋肉腫の病的バリアントとして、ATRX(19例/65例)、Cyclin E amplification(61例/65例)、TP53(33例/65例)、MDM2(10例/65例)、RB1(13例/65例)、BRCA1/2(4例/65例)などが認められている。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、ATRX病的バリアントを標的とする化合物等は、探索・同定に至っていない。そこで、申請者は、ATRX病的バリアントに結合して、ヒト子宮平滑筋肉腫が増殖しないようにする薬剤の候補を探索する。ATRX病的バリアントと約2000種類の既存医薬品がどう作用するか、CLC GWBとQCITM Interpret (QIAGEN社 184万円/年)又は分子の動きを「スーパーコンピューター富岳(理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS))」と「MOEケモインフォマティクス解析」でin silico解析シミュレーションを行い、治療薬として効果が期待できそうな化合物を探索する。さらに、ATRX病的バリアントへの標的化合物は、神経膠腫(神経膠芽腫)の新規治療法への応用も考えられる。 申請者らの遺伝子改変マウス(Lmp2/β1i欠損マウス:子宮平滑筋肉腫自然発症モデル)を用いた基礎研究と臨床研究(子宮平滑筋肉腫65例)、京都大学医学部附属病院 癌ゲノム医療での症例報告(子宮平滑筋肉腫5例)を総合的に考えると、子宮平滑筋肉腫の遺伝子病的バリアントとして、ATRX(19例/66例)が、検出されている。具体的には、ATRX K259fs, Y511H, Y545H, T745fs, T792fs, K1608Rfs, K1646Rfs, G1749V, G1787V, などである。「MOEケモインフォマティクス解析」によって、これらATRXの変異体の立体構造の予測を行う(株式会社モルシスの技術者の協力下で行われる)(ATRX変異体の立体構造をPDBに登録する)。
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