研究課題/領域番号 |
23K08921
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中村 伸太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (30649976)
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研究分担者 |
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30327621)
御子柴 卓弥 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50867017)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 頭頸部がん / ピモジド / 活性酸素 / PDX / GSH / 抗がん剤 / がん幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部がんの5年生存率は50%程度と決して高くない状況が続いており、この状況を打破すべく、新規治療のターゲットとして、がん幹細胞に着目した。その中で、統合失調症の治療薬であるピモジドが、がん幹細胞マーカーの一つであるCD44vを高発現する頭頸部がん細胞にたいして抗腫瘍活性を示すことを見出した。ピモジドの作用機序として活性酸素誘導機構が働くと考えているが、その作用機序には未知の部分が多く、解明を進める必要がある。再発や転移で治療に難渋する頭頚部がん症例のあらたな治療法となるべく、研究を進める。
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研究実績の概要 |
頭頸部がんは世界的に6番目に多い癌種であり、様々な治療法が開発されているにもかかわらず、5年生存率は50%程度で近年改善が見られない。この状況を打破すべく、新規治療のターゲットとして、がん幹細胞に着目した。既存薬ライブラリーを用いて薬剤スクリーニングを行った結果、統合失調症の治療薬であるピモジドが、がん幹細胞マーカーの一つであるCD44vを高発現する頭頸部がん細胞にたいして抗腫瘍活性を示すことを見出した。腫瘍細胞の皮下移植モデルへのピモジド投与により、腫瘍制御効果を認め、パクリタキセルとの併用ではさらに良い制御効果を認めた。ピモジドの作用機序として活性酸素誘導機構が働くと考えているが、その作用機序には未知の部分が多い。機序を十分に解明し、医師主導治験を目指すことが本研究の目的である。再発や転移で治療に難渋する頭頚部がん症例のあらたな治療法となるべく、研究を進める。 現時点で、ピモジドがCD44v高発現細胞に対して高い活性酸素誘導効果を示すことをフローサイトメトリーで確認した。また腫瘍細胞内のグルタチオン(GSH)が、ピモジドにより有意に減少することをGSH-Gloで確認できた。このため、ピモジドがシスチン・グルタミン酸トランスポーター系に何らかの形で作用することが予想されるため、現在追求中である。 また、PDXモデルにたいしてピモジドを投与したところ、がん細胞株の皮下移植モデルと同様に抗腫瘍効果を示した。これにより、実臨床においてピモジドが抗がん剤として効果が期待できると考えられ、さらに作用機序について解明を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PDXモデルにたいするピモジドの抗腫瘍効果が確認できたため、作用機序について解明を進めており、遺伝子解析も行った。RNA-seqを行ったが、機序の手がかりとなるものが十分には得られず、機序解明に難航している。より詳細なRNA-seq解析も検討中であり、パスウェイ解析・Gene Set Enrichment Analysisなどの準備を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
ピモジドの抗腫瘍効果についての機序解明を引き続き進める。 RNA-seq解析について、適切なサンプルの選択を検討し、再度評価を行うことも視野に入れている。 また、STAT5、インターフェロンシグナル関連分子の発現について、再現性の検討を行う。遺伝子解析において、インターフェロンによるピモジド感受性への影響が示唆されるような結果も得られたため、細胞株へのインターフェロンとピモジド併用による細胞生存率・酸化ストレスへの影響の評価も検討する。 また、より詳細なRNA-seq解析として、パスウェイ解析・Gene Set Enrichment Analysisなどを検討し、ピモジドの抗腫瘍効果に関与していそうな遺伝子の解析を進める。
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