研究課題/領域番号 |
23K08924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
林 裕史 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (40715166)
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研究分担者 |
酒井 真志人 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40643490)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 蝸牛コルチ器 / ウイルス感染 / 有毛細胞 / 支持細胞 / ネクロプトーシス / 免疫細胞 / ダメージ関連分子パターン / マスイメージング解析 / 蝸牛 / 突発性難聴 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまで、ウイルス感染に伴い、蝸牛感覚上皮において支持細胞、及びGER細胞がマクロファージ様の細胞として活性化され、サイトカイン分泌により有毛細胞をウイルス感染より保護するものの、結果的に有毛細胞死を引き起こすことを見出しているが、支持細胞、及びGER細胞のマクロファージ様細胞化のメカニズムの全貌は未だ明らかではない。本研究では蝸牛感覚上皮内ダメージ関連分子パターン(DAMPs)が上記のマクロファージ様細胞化を誘引・増強しているという仮説を立て、そのDAMPsを特定し、蝸牛感覚上皮におけるウイルス感染時の免疫反応の一端を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
突発性難聴は、通常一側性に72時間以内に進行する感音難聴であり、そのメカニズムは不明であるがゆえに根本治療は存在せず、長年、対症療法としてステロイドの投与が行われているが、完全に治癒するのは約30%とその奏効率は決して高いと言えない。病因としてムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、インフルエンザウイルス、エンテロウイルス、脳心筋炎ウイルス (EMCV)など、ウイルス感染が原因の一つとして挙げられているものの、その詳細はやはり明らかとなっていない。 我々はこれまで、ウイルス感染による突発性難聴のメカニズムの解明、またそれに基づく新規治療法の開発を目指して、生後2-3日齢マウス蝸牛感覚上皮(コルチ器)を取り出し、培養液中にて培養、ウイルス感染させて分子生物学的解析を行うウイルス感染蝸牛・器官培養の実験系を確立している。ウイルス種は上記のEMCVと同じピコルナウイルスに属する近縁種であるタイラー脳脊髄炎ウイルス(TMEV)を使用し、さらに一部の実験ではHSV-1も用いている。この実験系を用いて、ウイルス感染した支持細胞が免疫細胞として活性化され、I型インターフェロンをはじめとした炎症性のサイトカインを分泌することにより、有毛細胞をウイルス感染より保護する一方、最終的にはTrail (TNF-related apoptosis-inducing ligand)を分泌することにより、ネクロプトーシスによる有毛細胞死の原因となることを突き止めている。 本研究ではネクロプトーシスにより有毛細胞から炎症を引き起こす物質が放出されているとの仮説を立て、初年度である2023年度では、その物質を質量分析法で解析するための予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感染させた蝸牛コルチ器を培養している培養液を用いて、質量分析による解析を試みたが、コルチ器のサイズが小さいが故にタンパク量が少ないことから、実験条件をadjustさせることが困難であったため方針を変え、同じ質量分析でもマスイメージングによる組織解析を行う方針へと切り替えた。本実験については同志社大学・神経生理研究室・池川雅哉教授との共同研究として行っている。ウイルス感染蝸牛コルチ器を池川先生が開発したマスイメージングの実験系へ落とし込むための予備実験を非ウイルス感染蝸牛コルチ器を用いて行い、adjustさせることに成功することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は昨年検討を行った実験条件を用いて、ウイルス感染させた蝸牛コルチ器より、感染後のタイムコースに沿って凍結切片を作成、マスイメージングを行う予定である。網羅的なタンパク解析を行い、DAMPsを検出し、蝸牛ウイルス感染時の炎症反応のシグナル伝達を明らかにするのが目標である。
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