研究課題/領域番号 |
23K08926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
太田 一郎 近畿大学, 奈良病院, 准教授 (00326323)
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研究分担者 |
桝井 貴史 近畿大学, 奈良病院, 講師 (10550890)
森 英一朗 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70803659)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | がんの浸潤・転移 / EMT / 相分離 / がんの転移浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、がん細胞を取りまくがん微小環境において、がん細胞のgeneticな変異だけでなく、epigeneticな機構により遺伝子発現プログラムをリプログラミングし悪性化(浸潤・転移)へと進展していくことが分かりつつある。そこで、近年生命科学で注目されている相分離(phase separation)のコンセプトを導入し、スーパーエンハンサーなどのゲノムの調節領域の機能の理解を深めることで、がん微小環境においてがん細胞がどのようにしてEMT(Epithelial-Mesenchymal Transition、上皮間葉移行)を誘導するのかとともに、いかにがん幹細胞の活性化を促進するのかを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では頭頸部がんの治療効果の向上のため、がん細胞の浸潤・転移のしくみを解明し、そのしくみを基に浸潤・転移を阻止することを目的としている。 我々は、これまでにWntシグナル伝達経路がSnailを介してEMTを誘導することで、MT1-MMP及びMT2-MMPを誘導し、がん細胞の浸潤・転移能を獲得させることを見出してきた。 さらに、EMTががんの浸潤・転移のKey Factorであるとともに、がん幹細胞の重要な制御因子であることが示唆された。 一方、近年、がん細胞を取りまくがん微小環境において、がん細胞のgeneticな変異だけでなく、epigeneticな機構により遺伝子発現プログラムをリプログラミングし悪性化(浸潤・転移)へと進展していくことが分かりつつある。さらに、がん微小環境においてEMTが誘導され、静的がん幹細胞から動的がん幹細胞への活性化を促し、がんの浸潤・転移を亢進させ、免疫監視機構を回避させることが予想される。しかしながら、がん微小環境ネットワークにおいて、いかにして頭頸部がん細胞がEMTを誘導し、がん幹細胞を活性化させ浸潤・転移を促しているか、そして、いかに免疫監視機構の逸脱を起こしているかなど、その機序については不明な点も多い。 そこで、近年生命科学で注目されている相分離 (phase separation) のコンセプトを導入し、スーパーエンハンサーなどのゲノムの調節領域の機能の理解を深めることで、がん微小環境においてがん細胞がどのようにしてEMT(Epithelial-Mesenchymal Transition、上皮間葉移行)を誘導するのかとともに、いかにがん幹細胞の活性化を促進するのかを解明することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大等の影響により、実験環境に遅延があり、予定していた実験計画がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部がん細胞における微小環境下のSnail、PD-L1/2の発現に伴うがん幹細胞のEMT活性化の相分離の観点からの解析: 前年度の結果を踏まえて、がん微小環境下でSnailあるいはPD-L1/2を強発現させたがん細胞が、EMTを誘導するスーパーエンハンサーを相分離の観点から同定し、ヒドロゲル結合法や液滴形成による濁度計測法に加え、等温滴定型熱量測定法(ITC)、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)、分析用超遠心法(AUC)、核磁気共鳴法(NMR:固体・溶液)、X線小角散乱法(SAXS)、中性子小角散乱法(SANS)等に、適切な同位体ラベル法やインテイン反応、分子動態計算法(MD)を組合せて分子動態の解析に取り組む。
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