研究課題/領域番号 |
23K08929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
脇坂 理紗 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (60958916)
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研究分担者 |
熊井 琢美 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00596306)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / 腫瘍免疫 / NTRK / 癌免疫療法 / TRK阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の次世代シークエンス技術における目覚ましい発展により、特定の分子を標的とした治療薬の開発が進んでいる。神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(Neurotrophic tyrosine receptor kinase: NTRK)融合遺伝子を有する進行・再発固形癌に対する分子標的薬であるエヌトレクチニブが本邦で世界に先駆けて保険承認となった。癌種横断的な治療薬であるが、NTRKの頭頸部扁平上皮癌における発現や機能は明らかとなっていない。近年固形癌の浸潤と神経との相互作用が注目されており、本研究では頭頸部扁平上皮癌におけるエヌトレクチニブの有用性および神経浸潤への影響について明らかにする。
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研究実績の概要 |
近年、がんゲノム医療の発展により神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)などの解析が可能であるが、頭頸部癌の実臨床において使用可能な分子標的薬は未だ少ないのが現状である。 NTRK遺伝子として知られるNTRK1とNTRK2、NTRK3はそれぞれ、細胞の分化や増殖に関わるトロポミオシン受容体キナーゼ(Tropomyosin receptor kinase: TRK)蛋白であるTrkAとTrkB、TrkCをコードしている。癌腫においてNTRK遺伝子は他の様々な遺伝子と融合する場合(NTRK融合遺伝子)があり、この融合遺伝子から無秩序に生成されたTRK融合タンパク質は癌増殖に寄与する。 エヌトレクチニブは頭頸部癌においても臨床応用可能であるが、頭頸部癌におけるNTRKの検討は少なくその発現や機能は明らかではない。近年、固形癌と神経との相互作用が注目されており、癌組織中の神経繊維の密度は臨床転帰と関連することが報告されている。NTRKは神経成長因子の受容体であり、頭頸部癌における癌と神経のクロストークを探るツールとしてNTRKおよびエヌトレクチニブに着目した。 本研究で頭頸部扁平上皮癌におけるTRK阻害薬の抗腫瘍効果、腫瘍の神経浸潤への影響、さらに免疫原性における影響について検討する。本研究の成果に基づき、腫瘍進展における神経浸潤のメカニズムの解明と抗TRK抗体と免疫療法との併用など癌種を超えた新規治療を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頸部扁平上皮癌細胞株におけるTrkの発現を確認した。TRK阻害薬による頭頸部細胞株の免疫原性の変化についてTRK阻害薬投与前後のフローサイトメトリーを用いてHLA Class I及びClass II、PD-L1の発現を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部扁平上皮癌症例のTRKファミリーの発現を免疫組織染色で検討することで、TRK阻害剤の適応となる症例の割合を調べ、染色の割合とTNMによるステージングや生命予後との相関、HPV感染の有無などを検討することでTRK発現と臨床的悪性度との関連を調べる。 頭頸部癌細胞株におけるPD-L1、PD-L2染色やHMGB1の産生などのImmunogenic cell death markerを確認する。免疫原性が増強していた場合は、頭頸部癌特異的T細胞、抗PD-1抗体を用いてTRK阻害薬と免疫療法の併用についても検討を予定している。
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