研究課題/領域番号 |
23K08930
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
菊田 周 日本大学, 医学部, 准教授 (00555865)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 嗅上皮 / 睡眠障害 / 嗅覚障害 / 嗅覚 |
研究開始時の研究の概要 |
嗅細胞が密集する嗅上皮は障害を受けても、終生にわたる神経再生によって嗅覚はいずれ回復することが期待される。しかし、概日リズムの変化を伴う睡眠障害があっても嗅上皮障害後の再生機構が正常に働き、嗅上皮恒常性が維持されるかどうかについては不明である。本研究では、嗅上皮障害後に新生する嗅細胞に着目し、概日リズムの変化が新生嗅細胞の分化・成熟過程に与える影響を、主に免疫組織学的手法ならびにイメージング手法によって詳細に観察する。この観察を通して嗅上皮の恒常性維持における概日リズムの役割ならびに嗅上皮再生機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
目的:概日リズムの異常を伴う睡眠障害によって、嗅上皮障害後の再生過程がどのような影響を受けるのかについて、主に免疫組織学的手法ならびにイメージング手法によって詳細に観察する。この観察を通して嗅上皮の恒常性維持における概日リズムの役割ならびに嗅上皮再生機構を明らかにすることが目的である。初年度は2週間の概日リズムの乱れを伴う睡眠障害があっても、障害のない嗅上皮では嗅細胞数の変化を認めず、組織学的な変化は観察されないことを組織学的証明することである。
成果:睡眠障害マウスを作成するために、C57BL/6マウス (雄、10週齢)を水上の車輪環境に置いた。この環境では、車輪のない環境と比較して休息期の活動量が増加し、活動期の活動量は低下するのが観察された。また、体重や食事量、血中のコルチゾル濃度は、睡眠障害環境に曝しても著明な変化は認めなかった。これらの結果は、車輪環境はマウスに過度のストレス負荷は与えないが、概日リズムを乱す睡眠障害を引き起こす環境であると考えられる。 2週間の睡眠障害環境で飼育したマウスの脳を還流固定し、嗅上皮冠状断を作成、嗅上皮の厚み、嗅細胞数を計測した。さらに、成熟嗅細胞の指標である抗Olfactory Marker Protein (OMP)抗体を用いて、免疫組織学的な細胞動態の評価を行った。2週間の睡眠障害環境では、睡眠障害なしの環境と比較して嗅上皮厚や嗅細胞数に変化がなく、また背内側領域と腹側領域を比較しても、成熟嗅細胞数に著明な差は認めなかった。したがって2週間程度の睡眠障害では、障害のない嗅上皮細胞動態に対する影響は少ないことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
睡眠障害マウスを作成するために、C57BL6マウス(雄、10週齢)を水上の車輪環境に置くと、車輪のない環境と比較して休息期の活動量が増加し、活動期の活動量は低下するのが観察されたが、一部活動量が変化しない個体も観察された。体重や食事量、血中のコルチゾル濃度は睡眠障害環境に曝しても著明な変化は観察されなかったため理由は不明である。組織学的に検討すると、2週間の睡眠障害環境で飼育したマウスでは、睡眠障害なしの環境と比較して嗅上皮厚や嗅細胞数に変化がなく、成熟嗅細胞数も変化を認めなかった。以上から、活動量と組織学的所見の関係性については今後マウスの匹数を増やして再検討する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
メチマゾール投与3日後から2週間、睡眠障害環境でマウスを飼育した後に脳を還流固定し、嗅上皮冠状断を作製し、嗅上皮の厚み、嗅細胞数を計測する。さらに免疫組織学的な細胞動態の評価を行う。2週間の概日リズムの乱れを伴う睡眠障害があると、嗅上皮障害後の組織再生は著しく遅延するが、この変化は嗅上皮背内側領域に限局して起こること、さらに2週間の概日リズムの乱れを伴う睡眠障害があると、細胞内NQO1発現量の低下に加えて、基底細胞の分裂能が低下することを免疫組織学的に検証する。
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