研究課題/領域番号 |
23K08942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
京 雪楓 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (70316123)
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研究分担者 |
玉川 俊次 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40543781)
酒谷 英樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30817317)
奥田 勝也 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40888327)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / 微小環境 / Fusobacterium / 腫瘍微小環境 / 嫌気性菌 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部癌の浸潤・転移・再発に、細胞増殖と血管新生の不均衡に起因する腫瘍低酸素環境の関与が明らかとなり、腫瘍内低酸素環境制御は有望な新規抗腫瘍治療として注目されている。さらに腫瘍内細菌叢により誘導された上皮間葉移行の発癌や癌進展への関与の報告から、腫瘍内低酸素環境と腫瘍内細菌叢との関連性が考えられる。口腔内細菌叢に曝露される頭頸部癌では口腔内細菌叢との関連を示す研究はあるが、腫瘍内細菌叢と微小環境との関係については未解明である。本研究では頭頸部癌における腫瘍内細菌叢を明らかにし、細菌叢とりわけ嫌気性菌が腫瘍内低酸素微小環境に与える影響を解明する。
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研究実績の概要 |
頭頸部癌の浸潤・転移・再発に、細胞増殖と血管新生の不均衡に起因する腫瘍低酸素環境の関与が明らかとなり、腫瘍内低酸素環境制御は有望な新規抗腫瘍治療として注目されている。さらに腫瘍内細菌叢により誘導された上皮間葉移行の発癌や癌進展への関与の報告から、本研究では腫瘍内低酸素環境と腫瘍内細菌叢との関連に着目した。申請者は、乳癌細胞株を用い中枢神経系で高発現した受容体チロシンキナーゼに属するEphA4の抑制がもたらす腫瘍微小環境下インスリン様増殖因子の減少が腫瘍増殖と転移を抑制することを明らかにした。口腔内細菌叢に曝露される頭頸部癌では口腔内細菌叢との関連を示す研究はあるが、腫瘍内細菌叢と微小環境との関係については未解明である。本研究は、頭頸部癌の低酸素腫瘍微小環境の形成における嫌気性菌F.nucleatumの関与を明らかにすることを目的とする。臨床検体を用いた細菌叢解析と分子生物学的手法による低酸素誘導因子の発現を評価するとともに、動物モデルを用いて嫌気性菌が低酸素腫瘍微小環境の形跡に関与することを検証し多面的に評価するものである。和歌山県立医科大学の倫理委員会にて研究内容の承認を受け、頭頸部癌患者からの検体採取を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
和歌山県立医科大学の倫理委員会に研究概要を提出し、2024年4月25日に承認を受けた。細菌叢解析については外部委託での解析の価格を交渉中である。 組織からの組織抽出についてはmirVana miRNA Isolation Kit(Ambion)、cDNAの合成ではHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Ambion)を購入し準備している。TaqMan probeはGAPDH、TRPV1、HIF-1α、TLR4、hsa-miR-21、RNU6Bを購入し保存中である。正常組織と腫瘍部の発現比較を行い、有意差があれば頭頸部癌細胞株を用いた実験へとすすめる予定である。 頭頚部癌細胞株を用いた実験系ではFusobacterium necrophorumの培養に関しては、嫌気チャンバーの器材が整わないため細胞株とFusobacterium necrophorumの共培養は困難である。そのため、Fusobacterium necrophorumを簡易の嫌気チャンバーで培養しLPSを抽出することで、細胞株を用いてLPSが頭頸部癌細胞株の遺伝子発現やmicroRNAに与える発現について検討する予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会の承認を受けたために、頭頸部癌患者腫瘍部分より採取した細菌叢についての解析をすすめる。16SrRNAおよび次世代シークエンサーを用いた細菌叢解析を行う。16SrRNA遺伝子の網羅的解析は、E341F/E907RをプライマーとしたPCR増幅産物をTOPO TA cloning kitを用いクローンライブラリを作成する。96クローンに対しM13プライマーを利用した配列解析を行い公開されている基準種データべースと相同性解析をBLASTで行う。細菌叢は主成分分析を用いて2次元散布図にプロットし細菌叢の違いを明示化し、主座標分析を用いた群間のUnifrac距離を算定し有意差検定を行う。 また、遺伝子発現については現在、臨床検体をRNA Laterに入れ-80℃で保管し始めており、5症例(10検体)が集まった時点でRNA抽出し、cDNAを合成した後に遺伝子発現について検索する。
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