研究課題/領域番号 |
23K08952
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
神崎 晶 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚・平衡覚研究部, 室長 (50286556)
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研究分担者 |
黒田 有希子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70455343)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 内耳障害 / 血流 / 血管内皮細胞 / 難聴 / 内耳 / ドラッグデリバリー / バリア機構 |
研究開始時の研究の概要 |
内耳性難聴の治療薬開発において、薬物の内耳に到達量、「薬物が内耳窓膜や血液迷路関門といったバリアを十分通過しているか」は重要な課題である。内耳への薬物投与経路には内耳膜を経由した局所投与、血液迷路関門(血管条)を経由した全身投与、と前述の2つの併用投与がある。我々は、同時併用投与では各単一経路の投与の総和以上に薬物が内耳に到達する“相乗効果”がみられることを示したが、そのメカニズムは不明である。 具体的には以下3点を解明する。 ①全身投与と局所投与の併用による相乗効果の検証 ②内耳障害における内耳窓膜・内耳血管条の変化と薬物動態の解析 ③内耳バリア機構をターゲットとしたドラッグデリバリーシステムの構築
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研究実績の概要 |
内耳は聴覚器において最も繊細であり、多臓器よりも多く血流を必要とする臓器であると考えられているが、ヒトでは内耳周囲は小血管ばかりで内耳血流の観察が困難である。突発性難聴は原因不明の急性難聴であるが、内耳の血流障害によるものであることがMRIで発見される例も散見される。内耳血流の研究は20世紀までは多く行われていたが、最近では行われなくなっていた。われわれは、透明化や微細構造を有する臓器の3次元構造解析などが進歩するに伴い、新しい解析法で内耳の構造と内耳血流を観察することを想起した。われわれは、血管内皮細胞に取り込まれるレクチンを標識したトマトレクチンをマウスの眼窩経由で投与し、内耳を摘出した。マウス内耳を透明化し、内耳血流を3次元で観察した。内耳血流を含む血管条と呼ばれる部位にトマトレクチンが取り込まれたが、興味深いことに、血管条の周囲にある外側壁(主に線維細胞が存在する)にレクチンが取り込まれており、血管内皮細胞と同様の構造を有することが観察された。線維細胞は主にカリウムなどを循環させたりという生理的役割を担っていることはわかっていたが、血流にも関与する可能性があることが示唆された。ポジティブコントロールとして、内耳血流を増加させることが報告されているPGE1を投与された群では、対照群である生理食塩水投与群と比較するとレクチンの取り込み量が増加していた。現時点で解析されたサンプル数が少ないが、すでに多くのマウス内耳に投与されたサンプルがあるため、処理をして進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で解析されたサンプル数が少ないが、すでに多くのマウス内耳に投与されたサンプルがあるため、処理をして進めていく予定である。概ね順調に進んでいるが、予想通りの結果と予想外の結果がでたため、その点について条件を検討していた。予想外の結果については、考察をしていく必要がある。また、今後は、内耳障害モデルにおける血管条の変化なども解析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で解析されたサンプル数が少ないが、実験条件を振っていたこともあり、サンプル数を増やしていなかった。すでに、マウス内耳検体数は10検体以上すでにストックがあり、検体に処理を加えるだけであり、解析がより進む予定である。また定量評価を行う上で、血管条とレクチン取り込み部分の面積の計測などについても検討していたが、こちらも解決している。
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