研究課題/領域番号 |
23K08961
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北田 有史 京都大学, 医学研究科, 医員 (50869584)
|
研究分担者 |
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50397634)
桑田 文彦 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20774459)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ヒトiPS細胞 / 気道上皮 / 鼻腔粘膜 / 免疫不全ラット / 移植 |
研究開始時の研究の概要 |
鼻副鼻腔の呼吸上皮機能阻害は易感染性を呈し生命に係わるが、根本的治療法がない。これに対し、我々は免疫不全ラット気道上皮欠損部へのヒトiPS細胞由来気道上皮細胞移植による移植治療の基礎的研究を進めてきた。本研究では、線毛協調運動が再現されたヒトiPS細胞由来気道上皮細胞シートをコラーゲンからなる足場と共に免疫不全ラット鼻腔欠損部へ移植し、生着効率向上の検討を行い、鼻腔欠損部の線毛運動機能再生を目指す。本研究により繊毛運動機能を再現した鼻腔ヒト化ラットモデルが確立できれば、大気中の有害物質による障害や呼吸器感染症メカニズム解明、吸入薬による治療薬の開発にも有用であり、波及効果は大きい。
|
研究実績の概要 |
本研究では、線毛協調運動が再現されたヒトiPS細胞由来気道上皮細胞シートをコラーゲンからなる足場と共に免疫不全ラット鼻腔欠損部へ移植し、生着効率向上の検討を行い、鼻腔欠損部の線毛運動機能再生を目指す。本研究により繊毛運動機能を再現した鼻腔ヒト化ラットモデルが確立できれば、大気中の有害物質による障害や呼吸器感染症メカニズム解明、吸入薬による治療薬の開発にも有用であり、波及効果は大きい。 本研究の目的は、鼻腔粘膜機能を損失するような病態に対する細胞移植による治療のための基盤技術の開発として、ヒトiPS細胞から分化誘導した気道上皮細胞シートを鼻腔へ移植し、鼻腔管腔面に高効率に生着させ、生着部位で線毛運動機能を再現させることである。鼻副鼻腔の呼吸上皮部管腔面へヒトiPS細胞由来細胞を移植・生着させ、線毛運動機能を確認した報告はなく、本研究独自の試みである。また、高効率にヒト細胞が生着すれば、鼻腔の治療薬のヒト細胞での検証や感染症研究にも用いることができる。鼻腔は管腔面が気層となる特殊な環境であるため、現在他の組織でヒトiPS細胞や初代培養を用いて培養液中で行われているin vitroの薬剤検証では検証を行う環境として不十分であり、動物個体の一部として生着したヒト細胞で検証を行えれば、より正確な効果の検証が可能となる。 今年度は以前採択されていた若手研究の続きとなる管腔面に面した上皮層への移植細胞の生着につき検討を重ね、投稿中の論文のリバイス実験を行い受理された。また、線毛運動観察のために必要な手技と解析に必要な知識につき、研究室内で同実験を施工していた研究者から指導を受け、自身で行えるようトレーニングを積んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前採択されていた若手研究が計画より進捗し、本研究で行うはずだった上皮層表層への移植細胞生着まで進めることができ、論文投稿していた。そのリバイスに時間がとられたため、やや進捗が遅れたが、次年度以降で進められる範疇である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、I. 線毛協調運動気道上皮細胞シートを作製し、II. 免疫不全ラット鼻腔へ高効率に生着させ、III. 生着部位で線毛運動能を確認することを目指す。 I. 移植細胞の調製:1. GFP発現細胞からの誘導条件を最適化し移植に用いる細胞シートを作製する。先行研究のヒトiPS細胞由来気道上皮細胞シートの鼻腔への移植で用いた253G1株を親株として用い、誘導時の添加因子の濃度などを最適化し、移植に用いる。2.協調運動線毛細胞シートの作製:マイクロ流体気道チップ技術を用いて、線毛上皮細胞同士の線毛振動の方向をそろえるという報告がある。この先行研究をもとに、移植に用いることができる大きいサイズのシートを作成する。ハイスピードカメラと電子顕微鏡による観察で協調運動の検証を行う。 II. 移植方法の確立:1. 添加因子の検討:研究室内でラットの気管欠損モデルを用いた検討でbFGFによる気管欠損部の早期上皮化が報告されていることから、上皮化促進因子を移植時に用いるコラーゲンスポンジに含ませ、生着効率の向上を試みる2. レシピエントラットの検討:先行研究では移植部に線維化組織が増殖しており、免疫細胞の浸潤も見られたため、ヌードラットに比べ、より重度の免疫不全ラットである重度複合免疫不全症を発症するラットを用いた検討を行う。 III.生着細胞の検証と機能解析:I.、II.の検討を合わせて移植条件の最適化を行い、最も生着効率が高い条件で移植を行う。1. 気道上皮細胞マーカー発現の確認:ヒトiPSC由来生着細胞につき気道上皮構成細胞マーカー遺伝子の発現と局在を免疫染色により検討し、鼻腔呼吸上皮としての品質を確認する。2. 生着細胞の機能解析:管腔面に抗ヒト核抗体陽性細胞が確認できる条件が決まれば、GFP発現を指標にヒトiPSC由来生着細胞につき線毛運動機能と協調運動に関する検討を行う。
|