研究課題/領域番号 |
23K08986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 豪 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (30464358)
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研究分担者 |
岡久 哲也 徳島大学, 病院, 理学療法士 (70938521)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 転倒予防 / 抗重力筋 / 姿勢制御 / 足圧分布 / 視刺激 / 仮想現実 / 平衡訓練 / 前庭リハビリテーション / 転倒 / 高齢者 / 個別化平衡訓練 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、転倒予防のための安定した姿勢保持・歩行には、とくに抗重力筋の働きが重要である点に着目し、まず健常人を対象に前庭刺激と視運動刺激を与え、前庭障害による動揺の安定や転倒予防に重要な抗重力筋を同定する。次に高齢の前庭障害患者に対して、同定した抗重力筋の表面筋電図を記録し、転倒歴の有無による抗重力筋活動を比較することで転倒予防に必要な個別化した抗重力筋強化訓練プログラムを構築する。本研究の成果は、高齢の前庭障害患者の転倒を予防できる抗重力筋強化を融合した個別化平衡訓練の開発につながるものであり、超高齢化がすすむ我が国において健康寿命の増進への社会的意義は大きい。
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研究実績の概要 |
【背景】姿勢制御には、数多くの抗重力筋が働いているが、前庭障害や視覚誘発性めまいの姿勢制御に関連している抗重力筋はこれまで明らかとなっていない。さらに高齢のめまい患者の転倒予防するための強化すべき抗重力筋も不明である。健常人の前庭刺激および視覚刺激による姿勢動揺に関連する抗重力筋を同定し、高齢者のめまいで強化すべき抗重力筋を明らかとすることで、高齢めまい患者の転倒を予防できる新しい平衡訓練法を開発できる可能性がある。本研究を実施するにあたって、徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会の承認を得た。【方法】健常人5名を対象としてHMDを用いたVR(仮想現実)による視覚誘発性めまいを一時的に誘導できる視覚刺激(pitch/yaw/rollの視運動刺激およびoptic flow刺激)を行い、重心動揺の変化と表面筋電図を用いて姿勢動揺を安定化させる抗重力筋を探索的に明らかとした。【結果】Roll方向の視運動刺激を与えると、重心動揺の足圧分布は左右方向に有意に移動していた。静止立位に比べて外側広筋、ヒラメ筋、中殿筋の筋活動が大きく上昇していた。Pitch方向の視運動刺激では、足圧分布は前後方向に移動し、前脛骨筋、ヒラメ筋、大腿二頭筋が大きく増加し、Yaw方向の場合、足圧分布に変化はなく、大腿二頭筋、中殿筋が増加していた。Optic flow刺激の場合、重心動揺が前後に移動し、前脛骨筋、ヒラメ筋、腓腹筋内側頭筋、大腿二頭筋、中殿筋、母趾外転筋など多くの抗重力筋が増加していた。視刺激中に転倒やfallする症例はいなかった。【考察】視運動刺激やoptic flow刺激による重心動揺の方向と、筋活動が増加する抗重力筋に一定の相関があることが明らかとなった。今後、健常人に対して回転刺激後の立位や歩行時の筋活動を評価し、一側前庭障害の姿勢制御に必要な抗重力筋を探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、健常人を対象にHMDを用いた視運動刺激とoptic flow刺激を転倒しない安全で十分な刺激強度で実験を遂行できている。また、ソフトウェアの動作環境に問題は起きていない。 一方、倫理委員会の審査に時間を要したため、研究開始が当初より遅れてしまった。また、回転刺激については、表面筋電図の記録端子がワイヤレスである必要があり、ワイヤレス端子の調達が遅れているために、現時点では実験が完遂できていない。さらに表面筋電図のワイヤレス端子は8chしかなく、同時に複数の筋活動を記録することができなかったため、想定より測定に期間が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
視運動刺激やoptic flow刺激による重心動揺の方向と、筋活動が増加する抗重力筋に一定の相関があることが明らかとなった。次年度は、健常人に対して回転刺激後の立位や歩行時の筋活動を評価し、一側前庭障害の姿勢制御に必要な抗重力筋を探索する予定である。また、抗重力筋は上半身から下半身にかけて数多く存在しているため、表面筋電図を同一被検者に複数回行うことによって、特に注目すべき抗重力筋を同定する予定である。回転刺激後の姿勢制御に重要な抗重力筋を同定したのち、実際の難治性めまい患者に対して表面筋電図で立位や歩行時の筋活動を評価し、健常人と比較する予定である。
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