研究課題/領域番号 |
23K08987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
松原 あい 香川大学, 医学部附属病院, 特命助教 (50807758)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 内耳 / RT-qPCR / ステロイド / グリチルレチン酸 / 鉱質コルチコイドレセプター / 糖質コルチコイドレセプター |
研究開始時の研究の概要 |
感音難聴やめまい等の内耳疾患はQOLを低下させ、うつや認知症のリスクが上昇し、社会的問題となっている。ステロイドや漢方薬が有効な場合もあるが根本的治療はなく、治療法確立が喫緊の課題である。ステロイドや漢方薬に含まれる甘草の薬効成分であるグリチルレチン酸は、電解質代謝・抗炎症作用を持つが、内耳での作用機序は不明である。本研究では、我々が確立した内耳微量mRNAを定量測定するシステムを用い、内耳の各微小部位でのステロイドとグリチルレチン酸の作用機序を明らかにすることである。内耳各部位に最も有効な薬剤を示し、種々のステロイドや漢方薬を内耳障害部位別・病態別に治療選択するための論理的基盤を創る。
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研究実績の概要 |
デキサメタゾン・プレドニゾロン・グリチルレチンサン・コントロール試薬液を、それぞれラットに腹腔内注射し、PFAにて灌流固定後採取した側頭骨から、レーザーで蝸牛血管条・前庭暗細胞・内リンパ嚢上皮細胞のみをそれぞれ切り出し回収した(レーザーマイクロディセクション)。回収したサンプルから抽出した各RNAサンプルの量と断片化の程度を検討したところ、内リンパ嚢上皮はRT-qPCR施行可能な質と量を確保できたが、蝸牛血管条はRNAの断片化が激しくRT-qPCRにて増幅が見られなかった。蝸牛血管条に関しては、サンプル採取の際の扱いやサンプル量などの検討を重ねて、徐々にRNAの質・量とも改善し、安定した収量が得られつつある。前庭暗細胞も同様に、RNAの収量が著しく低く、レーザーマイクロディセクションにて収集する細胞数の増加を目指すことで、RT-qPCR施行可能な質と量を得られるよう試みている。 RNA抽出できたサンプルからRT-qPCRにて、ターゲットであるENaC・NCC・Na+, K+-ATPase・アクアポリンのmRNA発現を比較検討を進めている。しかしながらプレドニゾロン群はコントロールとの差が現れず、投与量・期間など投与プロトコールを変更、再検討を行っている。グリチルレチン酸、デキサメタゾン投与群に関しては、一定の結果の傾向が現れるにはサンプル数がまだ不十分で、RNA抽出サンプル数を増やしていくよう、実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先に述べたように、レーザーマイクロディセクションにて回収した細胞から抽出したRNAサンプルに関して、蝸牛血管条と前庭案細胞は、RNAの断片化や細胞量の少なさにより、安定してRT-qPCR可能なレベルにまだ至っていない。
またプレドニゾロン群は投与量・期間など、これまでの論文等から決定した当初の投与プロトコールを変更し、再検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
安定したRT-qPCR結果を得るために、蝸牛血管条・前庭暗細胞に関しては、サンプル採取の際の慎重な扱いやレーザーマイクロディセクションで回収する細胞量を増やすなどの細かい検討を行っていく。それによって、安定したRT-qPCR施行可能なRNAの質と量を得られるよう進めていく。 さらに、有意差ある結果を得るために、それぞれの投与群・細胞においてRNA抽出サンプル数を増やしていくよう、実験を進めていく。 プレドニゾロン群の投与プロトコールを早期に再確立し、グリチルレチン酸、デキサメタゾン投与群とのターゲットRNA発現量の差を検討していく。
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