研究課題/領域番号 |
23K08995
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
甲能 武幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90573410)
|
研究分担者 |
富里 周太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00924987)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | HPV / 再発性呼吸器乳頭腫 / 3次元培養 / 腫瘍増殖機構 / 薬剤スクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、iPS細胞の誘導・培養技術を応用したConditional Reprograming (CR)法を活用し、再発性呼吸器乳頭腫の手術検体から初代培養細胞を樹立し、3次元培養による観察系の作成に成功した。本研究では、この3次元培養細胞を活用し様々なタンパクの発現や遺伝子変異の状態を評価することで、LR-HPVゲノムの増幅および腫瘍増殖に関与する因子を解明し、予後予測や新規治療薬の標的となりうる因子を探ると共に、薬剤スクリーニングによる治療薬候補の探索を行う。
|
研究実績の概要 |
低リスク型ヒトパピローマウイルス(Low Risk type HPV; LR-HPV)に起因する再発性呼吸器乳頭腫症は、HPVがどのように複製・増幅して腫瘍化に至るかという病態の解明は十分に進んでいない。その要因として、これまでLR-HPV感染細胞株の樹立が困難で、in vitroでウイルスの動態を評価する観察系が存在しなかったことが挙げられる。本研究では、First stepとして再発性呼吸器乳頭腫症のpreclinical modelを構築すべく、Conditional Reprogramming (CR)法を活用して、乳頭腫の手術検体から初代培養細胞を樹立し、コラーゲンゲル培養で3次元細胞の作成を行った。 これまで再発性呼吸器乳頭腫13症例の手術検体から初代培養細胞の樹立を試み、12例で成功した(図1)。樹立効率は90%を越え、生着した細胞は継代培養が可能で細胞凍結・解凍後も再増殖することを確認できた。 また、RT-qPCRおよびRNA-ISHにより、10例がHPV6型、2例がHPV11型を含有することを確認した。従来、臨床的にHPV11型由来の腫瘍はHPV6型由来に比べ増殖の勢いが激しいとされているが、本研究で樹立した各細胞のDoubling timeを比較すると、HPV-DNA型の違いによる差は認めなかった。さらに、コントロールとして同一症例の非病変部から採取した正常粘膜上皮からも培養細胞を分離している。次にアテロコラーゲンゲル内で培養した3次元細胞は凍結切片を作成し、免疫染色でCK5やKi67の発現を確認した。このことは、作成した細胞が再発性呼吸器乳頭腫症の腫瘍特性を再現していることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10例以上の手術検体から3次元培養作成に成功しており、当初の計画通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、この3次元培養細胞を用いて様々なタンパクの発現や遺伝子解析をすすめ、LR-HPVゲノムの増幅および腫瘍増殖に関与する因子を探索していく。さらに、予後予測や新規治療薬の標的となりうる因子を探ると共に、薬剤スクリーニングによる治療薬候補の探索を行うためのプラットフォームとして活用していく。難治性希少疾患であるLR-HPV感染症の新規治療戦略に結び付けていきたい。
|