研究課題/領域番号 |
23K09005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 壮 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (00530198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ラマン分光法 / アルツハイマー病 / 眼科 / アルツハイマー / iPS細胞 / 緑内障 |
研究開始時の研究の概要 |
医療への応用が期待される新規の光学計測技術としてラマン分光法を用いたラマン生体顕微鏡があり、申請者はこれまでにミトコンドリア内に存在するシトクロムのラマンシグナルがミトコンドリア機能を反映し、細胞の生存を反映することを見出し、生命科学分野へのラマン分光法が応用可能であることを示した。本研究では、さらに研究を進め、ラマン顕微鏡の網膜組織の測定方法の確立、網膜組織内の網膜細胞の生死予測(ミトコンドリアの性状の評価)の確立、さらにアルツハイマー病の早期発見のために網膜細胞および網膜組織内アミロイドβの検出法の確立を目指し、ラマン分光法の医療への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、アルツハイマー病(AD)細胞モデルのラマン顕微鏡観察を行い、Aβの蓄積、細胞障害の同時観察を行うことを目的として研究を行った。 10μMレチノイン酸、50ng/mL BDNF 各5日間投与によりSH-SY5Y細胞の神経分化を行い、10uM Aβ投与の上、24時間培養を行うことでAD細胞モデルを作製した。Aβ抗体(11A1)で免疫染色を行ったところ、AD細胞モデルの細胞膜、神経突起におけるAβ集積が確認できた。次に、532nm励起光のスリット走査型ラマン顕微鏡により観察を行った。ADモデル細胞とコントロール細胞のラマンスペクトルの差分を測定したところ、1666cm-1近傍にAβのβシートに由来すると考えられるピークを認め、Aβが検出できていることが分かった。 細胞障害の計測法としては、750cm-1のシトクロムのシグナルに注目した。シトクロムのラマン画像を観察したところ、コントロール群ではミトコンドリアに局所的に集積していたのに対して、ADモデル細胞では細胞質に均質に分布する像が得られた。これは、細胞死に伴う細胞質へのシトクロム拡散、ミトコンドリアの断片化などが原因として考えられるが、これらの病態に関しては今後検討を行う予定である。 上記結果から、AD細胞モデルにおけるAβの蓄積、細胞障害に伴うシトクロムの分布の変化をラマン顕微鏡により検出できることが分かった。 AD細胞モデルのラマン顕微鏡観察により、Aβの蓄積、細胞障害のラベルフリー同時観察が可能となれば、将来的に薬剤開発への応用も可能となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルツハイマー(AD)細胞モデルの作製に成功した。AD細胞モデルの細胞膜、神経突起におけるAβ集積が確認できた。次に、532nm励起光のスリット走査型ラマン顕微鏡により観察を行った。ADモデル細胞とコントロール細胞のラマンスペクトルの差分を測定したところ、1666cm-1近傍にAβのβシートに由来すると考えられるピークを認め、Aβが検出できていることが分かり、計測についても成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を引き続き進め、アルツハイマー病細胞モデルで、ラマン分光法でどのような現象が起こっているかを精査し、さらにアルツハイマー病動物モデルマウスでの計測や、患者のiPS細胞から神経細胞を分化させアルツハイマー病モデルとラマン計測の実験系を確立し、薬剤試験などへの活用を目指したい。
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