研究課題/領域番号 |
23K09006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東 翔平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (10897945)
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研究分担者 |
林 竜平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (70535278)
相馬 剛至 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70582401)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 免疫不全ウサギ / 異種移植 / ヒトiPS細胞 / 拒絶反応 / 角膜上皮幹細胞 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はヒトiPS細胞由来角膜上皮細胞シート(以下、iCEPS)による角膜再生治療法を開発してきた。iCEPS移植の治療成績には角膜上皮幹細胞の生着が重要であるが、移植した幹細胞の生体角膜における長期局在は不明である。近年、我々は遺伝子組み換え技術を用いた重症複合免疫不全ウサギ(以下、X-SCIDウサギ)の作製に成功し、ヒト細胞移植による免疫拒絶反応が生じにくい長期観察が可能な研究環境を整備した。本研究ではこのX-SCIDウサギに対して、当研究室が樹立した幹細胞マーカーp63遺伝子をEGFPで標識したiCEPSを移植することで、移植後の角膜上皮幹細胞の長期挙動を明らかにする。
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研究実績の概要 |
免疫不全症モデル動物は異種由来の細胞や組織を移植した際に、拒絶反応を示さないことが知られている。本研究において、ヒト由来組織の移植後においても同様に拒絶反応なく移植物の長期生着が可能であることが期待される。これまで野生型ウサギに対して、ヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シートを移植した際には拒絶反応の抑制を目的とした、免疫抑制剤やステロイド剤の投与を継続して実施してきた。しかしながら、野生型ウサギでは術後の免疫反応の制御について、拒絶反応を抑制する免疫抑制剤を投与しないX-SCIDウサギと同じプロトコルを用いた試験は未実施であり、ウサギの異種移植に対する拒絶反応を判断するための基準が設けられていなかった。ゆえに、本年度はコントロール群として、野生型ウサギ前眼部に対するヒト組織の移植試験と免疫抑制を実施しない試験を実施した。試験結果として、移植後2週目時点より拒絶反応に起因すると考えられる角膜実質の浮腫が生じ、ウサギ角膜がヒト由来の細胞に被覆されることはなかった。また、移植領域への炎症細胞浸潤が見られた。以上から、ウサギ前眼部への異種移植により生じる拒絶反応に関する知見を得ることができた。本試験の成果は今後のX-SCIDウサギへの異種移植試験において、拒絶反応の有無を判断する基準として重要な試験結果である。 X-SCIDウサギの作出に関して、本年度は親個体の不妊や育児放棄等の原因から試験に使用する個体を得ることができなかった。作出方法の改善案に関して委託先と協議し、2023年度末に2個体の作製が完了したため、2024年度より順次、試験を進行する予定である。 p63遺伝子の発現を蛍光タンパク質によって検出・追跡可能なヒトiPS細胞由来の角膜上皮細胞シートの作製について、既報を参考に作製が完了した。移植した細胞シートのin vivoにおける蛍光追跡方法については現在も検討段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、免疫不全ウサギに対してヒトiPS細胞由来角膜上皮幹細胞シートを移植後、生体内角膜のヒト角膜上皮幹細胞の局在を明らかにすることであり、これは野生型ウサギにおいて、角膜へヒト由来組織を移植したのちに拒絶反応が生じることが前提条件として重要である。しかし、角膜は免疫機能が低い組織であることが知られており、さらにはウサギの眼部における異種移植による拒絶反応に関する報告はほとんどない。以上の理由から、本研究におけるポジティブコントロールの試験結果を本年度に得ることができたため、研究実施計画どおりに次年度から免疫不全ウサギへの移植のみを実施することができる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は野生型ウサギに対するヒト組織移植を実施できたため、次年度より免疫不全ウサギを用いた異種移植試験を実施することができる。また、細胞シートについても作製方法を習得したため、次年度においては研究実施計画通りに試験を進めることが可能であると考えている。生体内における蛍光シグナルを検出する方法については、本研究室においてラットにて実施経験のある研究員がいるため、その方法についてヒアリングを行い、ウサギへの応用を考えている。
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