研究課題/領域番号 |
23K09025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三好 智満 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70314309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電気刺激 / 人工網膜 / 人工視覚 / 時間干渉刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
人工網膜とは、眼球に刺激電極を埋め込み、光を感じられなくなった網膜に残っている神経細胞を電気的に刺激して、光覚を人工的に引き起こす機器である。電気刺激として一般的にはパルス状刺激を用いるが、視力を向上させるためには多数高密度の刺激電極が必要であり、限界がある。近年、時間干渉刺激と呼ばれる、脳深部に対して干渉電場によって遠隔に興奮を起こす方法が報告された。この方法は人工網膜、特に我々が研究してきたSTS方式の持つ弱点を克服する可能性を秘めている。本研究では時間干渉刺激の人工網膜への応用を基礎的に検討する。
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研究実績の概要 |
刺激電極から離れた場所の神経細胞を興奮させることが可能な時間干渉刺激法を、従来のパルス状の刺激を用いない新規の人工網膜の刺激法として適用することを試みる。時間干渉刺激の性状を明らかにするためには、正弦波の電気刺激を連続的に与えながら電気生理学的記録を行う必要があり、この正弦波電気刺激がノイズとして記録にどの程度影響を与えるかを調べた。ラットを用い、上丘から銀ボール電極を用いて集合電位の記録を行ったところ、網膜に加えた2kHz正弦波電気刺激のノイズが記録にも重畳した。しかし、アンプ内蔵の低域透過フィルターに加えて追加でフィルターを回路に挿入したところ、刺激に由来するノイズはかなり削減された。また、眼球に電気刺激を与えながら同時にフラッシュ光刺激を与え、このフラッシュ光による誘発反応を記録できるか調べたところ、電気刺激を加えない場合に記録される誘発反応と同じものを平均加算を行うことによって記録することができた。このことから、電気刺激を連続的に加えている状態でも集合電位の記録が可能であることがわかった。また、時間干渉刺激の効果を明らかにするためには、上丘表面からの2次元的にサンプリングする必要があるが、電極を順次移動させて記録するのではなく、多点の記録電極を用いて同時にサンプリングすることが望ましい。その可能性を探るため市販の多点皮質表面電極を上丘表面に適用できるかを調べた。上丘を覆っている大脳皮質をガラス管によって吸引除去して表面を完全に露出することと、手術と保持具を工夫することで皮質用の電極を上丘表面に設置することが可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一番困難と予想された電気刺激しながらの電気生理記録の実現可能性に目処が立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きこれまで確立した手法を発展させて、時間干渉刺激の特性を明らかにする。フィルター性能が不足することに備え、デジタルフィルターの導入を検討する。
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