研究課題/領域番号 |
23K09042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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研究分担者 |
澤田 修 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (00378465)
小幡 峻平 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90814848)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 抗VEGF薬 / 加齢黄斑変性 / 糖尿病黄斑浮腫 / VEGF / Angiopoietin / カニクイザル |
研究開始時の研究の概要 |
加齢黄斑変性治療などの第一選択である抗VEGF薬はVEGFのみを抑制するが、VEGFを抑制することに加え、angiopoietin-2 (Ang-2)も抑制するfaricimabが新たに承認され、臨床効果が大きく変わることが期待できるが、一方であらたな副作用も懸念される。 本研究ではfaricimabの薬物動態をカニクイザルを用いて検討し、全身への影響を未熟児網膜症モデルマウスを用いて検討する。さらに、faricimabの加齢黄斑変性のにおける有効性をafliberceptの結果と比較検討することにより臨床的な優位性を検討し、治療薬剤の選択を含めた最適な治療レジメを確立する。
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研究実績の概要 |
【目的】アフリベルセプト硝子体内注射(IVA)あるいはファリシマブ硝子体内注射(IVF)を行った未治療の滲出型加齢黄斑変性(AMD)の、短期間の治療成績を後ろ向きに比較検討した。 【対象と方法】対象はIVAあるいはIVFを行った未治療のAMD。初回投与前、投与1か月後の視力検査、光干渉断層計(OCT)での網膜内浮腫(IRF)、網膜下液(SRF)、網膜色素上皮剥離(PED)の改善の有無について検討した。改善の有無については薬剤名を伏せて2名で判定した。改善の有無の割合における薬剤間の違いは、カイ2乗検定かFisherの直接法で検討した。小数視力はlogMARに換算した。 【結果】症例はIVA群34例34眼、IVF群34例34眼。平均logMAR視力はIVA群では投与前0.44、投与後0.39で有意差はなかった(P=0.053)。IVF群では投与前0.37、投与後0.40で有意差はなかった(P=0.848)。IRFが改善していた割合はIVA群92.3%(12/13)、IVF群94.7%(18/19)、SRFが改善していた割合はIVA群71.9%(23/32)、IVF群90.9%(30/33)、PEDが改善していた割合はIVA群61.8%(21/34)、IVF群64.7%(22/34)であった。IRFとPEDの改善率は薬剤間で有意差はなかった(IRF:P=1.0、PED:P=0.801)。SRFにおいてはIVF群のほうが改善の割合は有意に高かった(P=0.048)。 【結論】AMD症例においてファリシマブのほうが形態的変化に有効である可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アフリベルセプトとファリシマブの効果について、臨床例について後ろ向きに検討し、ファリシマブの方が解剖学的に評価した効果が強いことが分かった。一方、機能的な評価においては両薬剤間に効果に差を認めなかった。今回は症例数が比較的少ないので、今後は症例数を増やすことにより機能的にも差を認める可能性があり、より多数で検討していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究計画では加齢黄斑変性の症例を用いて、アフリベルセプトとファリシマブの効果を比較検討することに加えて、カニクイザルを用いて、両薬剤の薬物動態や眼内のVEGF濃度抑制の効果について検討する予定である。臨床研究委おいては、両薬剤間の効果の差異について、臨床症例の症例数を増やして、両群の差をより確からしいものにしていく予定である。研究期間の2年目である令和6年度においては、臨床研究に加えて、カニクイザルを用いた基礎研究も開始する予定である。
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