研究課題/領域番号 |
23K09045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白石 敦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90314963)
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研究分担者 |
林 康人 愛媛大学, 医学部, 研究員 (70314953)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ZFP521 / ケラトサイト / 角膜実質 / バイオイメージング / 透明治癒 / 角膜実質混濁 |
研究開始時の研究の概要 |
角膜実質混濁は高度の視機能低下を招く。実質混濁の機序は炎症反応の遷延、実質細胞の不規則な増生と形態異常など様々である。一方、ZFP521ノックアウトは骨形成の異常や不明の原因により、ほとんどが生後間もなく死亡する。特別な飼育環境で、稀に生き延びたマウスは生後4週以降、角膜に高度の混濁、肥厚と角化が進行するため、ZFP521が角膜の透明性保持に不可欠であることが判明した。そこで、ZFP521の透明性保持の機序をより明確にするため、上皮特異的又はケラトサイト特異的ノックアウトを作製して、その下流に存在する因子をRNASeqで特定することで、角膜透明治癒につながる治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
角膜は、透明で強靱なドーム形状を有するが、その透明性を維持するメカニズムは不明である。角膜実質混濁は高度の視機能低下を招き、QOLを低下させる。一方、ZFP521は中枢神経の発生時に発現する転写因子であるが、そのノックアウト(KO)は、ほとんどが生後間もなく死亡するが特別な飼育環境で、稀に生き延びたマウスは生後4週以降、角膜に高度の混濁、肥厚と角化が進行するため、ZFP521が角膜の透明性保持に不可欠であることが判明した。そこで、ZFP521の透明性保持の機序をより明確にするため、上皮特異的又はケラトサイト特異的KOを作製し、その下流に存在する因子をRNASeqで特定することで、角膜透明治癒につながる治療法の確立を目指す。本研究では、まずZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPを作製し、K5Cre(表皮外胚葉由来細胞でCre)、K12IRES-Cre(角膜上皮のみでCre)、KeratocanIRES-nlsCre(角膜、輪部および強膜の実質細胞でCreを発現)、KeratocanIRES-CreERT(tamoxifen投与で角膜の実質細胞のみCreを発現)と交配し、上皮及びケラトサイト特異的ZFP521 KOを作製し、さらにCre発現細胞を青蛍光、Cre非発現細胞を赤蛍光にバイオイメージングできる ROSA26mRmBで形態変化を捉えつつ、増殖期の細胞核を緑蛍光、停止期の細胞核を赤蛍光にバイオイメージングできる ROSA26Fucci2を組み入れた組織特異的Cre/ ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP/ loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP /ROSA26mRmB/Fucci2を作製してバイオイメージングを使用して解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織特異的ZFP521ノックアウト作製のため、ZFP521の大部分をコードするExon4の場所にExon4からExon8にあるstop codonまでとその後ろにIRES-EGFPを付加した遺伝子を挿入し、さらにその遺伝子をloxPで挟んだES細胞の作製を試みた。ターゲッティングベクターをエレクトロポレーションでES細胞に遺伝子導入し、G418でセレクションをかけて、38個のコロニーをピックアップし、3’PCRのスクリーニングで7クローン(No.3、4、10、17、28、30、37)を得た。NeoR、3’、5’の3つのprobeで行ったサザンブロットで4つのクローン(No.17、28、30、37)で挿入遺伝子に問題がないことを確認した。その4つのクローンのキメラマウスから、No.28のみでZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPマウスのヘテロの作製に成功した。ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPのバイオイメージングにより、生後角膜においてZFP521遺伝子はケラトサイトのみに発現していることが判明した。さらにK5Cre /ZFP521(loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP)/(loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP)では、角膜混濁を生じないことを確認した。これらのことからケラトサイトのZFP521遺伝子発現が角膜の透明性を保っていて、角膜上皮の肥厚と角化は2次的なものであると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ケラトサイトのZFP521遺伝子発現が角膜の透明性を保っていることが予想されるため、ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPをKeratocanIRES-nlsCre(角膜、輪部および強膜の実質細胞でCreを発現)、KeratocanIRES-CreERT(tamoxifen投与で角膜の実質細胞のみCre)と交配し、KeratocanIRES-nlsCre / ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP/ loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPとKeratocanIRES-CreERT / ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP/ loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxPとを作製し、後者は生後2週でTamoxifen(0.25mg/g body weight)を投与する。いづれのマウスにおいても生後4週で角膜混濁が観察されるようであれば、Tamoxifen投与のタイミングを生後6週で行い、RNASeqで発現遺伝子を比較し、転写因子を中心に検査して、角膜を透明に保つために必要な因子を明らかにする。さらにケラトサイトの増殖が関わっていると考えられる場合は、ROSA26mRmBで形態変化を捉えつつ、ROSA26Fucci2を組み入れたKeratocanIRES-CreERT / ZFP521 loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP/ loxP-Exon4‐stop codon-IRES-EGFP-loxP /ROSA26mRmB/Fucci2を作製して、Tamoxifen投与し、細胞増殖と形態変化の関係を明らかにする。
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