研究課題/領域番号 |
23K09068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
土至田 宏 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (00306961)
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研究分担者 |
須藤 史子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30246467)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ドライアイ / 生体染色 / フルオレセイン / ローズベンガル / 閉経 / 性ホルモン / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
1. 副交感神経除神経ドライアイ動物モデルを用いて、眼表面恒常性維持におけるレチノイド結合蛋白と性ホルモン結合蛋白の役割を探る。 2. これら結合蛋白が新たなバイオマーカーと成り、簡易的診断法に応用可能は検証する。 3. 新たなターゲットとなるバイオマーカー=結合蛋白を標的とした、新たな原因別ドライアイ治療法開発へと発展させ、これからの高齢化で増える患者の原因別治療を目指す。
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研究実績の概要 |
家兎の副交感神経除神経ドライアイ動物モデルを用いて、眼表面恒常性維持におけるレチノイド結合蛋白と性ホルモン結合蛋白の役割を探ることが主目的である。本年度は既存の実験機器や設備に加え、デジタル撮影カメラ付ハンドスリット顕微鏡を新規購入し、家兎眼観察および写真記録がより簡便に行える体制を整えた。このハンドスリット顕微鏡は、世界で初めてデジタルカメラが搭載された画期的な機種であり、しかもWifiやbluetoothでタブレット等の他の端末にリアルタイムでデータを飛ばす事ができ、更には外付けハードディスクへの保存も可能で、大量の撮影にも対応することができた。特にこれまでは実験動物はじっとしている事が困難なために、眼の撮影時には拘束器具を用いるのが常であったが、本機種は動画モードにしてリアルタイム撮影を続けることで、家兎を拘束することなくても顕微鏡を家兎眼に近づけるだけで、仮に一瞬だけでも良好な構図で家兎眼が撮影されていれば、その画像を動画ファイルから切り抜くことができるようになったため、実験動物のみならず撮影者のストレスも軽減することができた。 同カメラシステムによる撮影を、前眼部全体、フルオレセイン染色下、ローズベンガル染色下で施行し、家兎動物モデルと正常対照のおける前眼部所見ならびに生体染色結果の分析を行った。その結果、従来の撮影法と比較して同等の結果である事を確認した。 また、副交感神経除神経ドライアイモデルの一部の涙腺、角結膜組織を採取し、光学的顕微鏡による組織学的検査を行い、除神経による両組織の形態学的変化の評価を行った。残った組織は電子顕微鏡用に固定したが、初年度は包埋までで、撮影ならびに観察は次年度以降に引き続き行うこととなった。蛋白の変化に関する解析も次年度以降に追随して行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家兎の副交感神経除神経ドライアイモデル作成やそのための実験機器や設備は既存のものを使用できたが、その観察装置に、世界で初めてデジタルカメラが搭載された一体型のハンドスリット顕微鏡を用いることとしたため、その操作方法や特性を理解することや結果の抽出法を見い出し方、その評価における既存の機器との結果比較に時間を要したため、実験計画内容のうち、特にin vtroの実験に遅れが生じている。 初年度にシステムの構築を行う事が出来た上記のデジタル撮影カメラ付ハンドスリット顕微鏡による観察は、動物を拘束し、これまでのピントを合わせ、ベストのタイミングで1枚ずつ撮影を行うものであったのに対し、動画モードであればタブレット等の他の端末にリアルタイムでデータを飛ばす事ができ、動画による容量が大きくなっても、その後で外付けハードディスクへの保存することによって、動物が動いた際においても、狙ったアングルでの画像が瞬時にしか捉えていなくても、後に動画ソフトを用いて必要な場面を切り抜くことができたことから、家兎を拘束することなく、低侵襲の状態で撮影が可能であることが判明した。また、その結果は従来の動物を拘束しての手法に比べても遜色なかったことから、本研究のみならず、家兎眼を用いた今後の研究にも応用可能であると思われた。そのことは、次年度以降に検体を採取しての分析を行う際においても、副交感神経除神経による効果がきちん出ている個体かどうかを評価するのに有用になる結果と思われた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は遅れている副交感神経除神経ドライアイモデルの一部の涙腺、角結膜組織を採取しての光学および電子顕微鏡による観察、および蛋白の変化に関する解析を行うが、前項の新撮影システム導入結果から、副交感神経除神経による効果がきちん出ている個体かどうかの評価が簡便となったため、より確実な効果が確認できた個体を用いての実験ならびに評価を行えるようになり、より正確な実験結果に結びつくものと考える。
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